産経新聞(1日付)によれば、東日本大震災の被害でいったん営業を中止した後、設備を修理するなどして再開した劇場に、先週末で前年同期より最大2倍の観客が足を運んだことがわかった。

シネコン大手のワーナー・マイカルは、震災で東北、関東の23劇場で営業を中止したが、再開した12劇場では関東を中心に、3月26日の土曜日には前年比150%、中には200%の劇場もあったという。26劇場で営業中止をしたTOHOシネマズも、再開劇場では土日とも好調だったという。

両社とも人気作品に、英国王が吃音と闘いながら戦時下の自国民をラジオ演説で勇気付ける「英国王のスピーチ」を挙げている。関係者は「震災下で勇気をくれる作品では」と話しているという。この時期に多くの人が映画館に足を運んだのは、良質の映画が見せてくれる物語には人の心を癒す力や励ます力、勇気や希望を与える力があり、人々がそれを求めているからに違いない。

映画だけでなく、音楽のコンサートやライブでも聴衆は元気やパワーをもらえるし、祭りなどのイベントも同じだろう。エンタテインメントや芸術、人が集まるイベントそのものが、触れる人にエネルギーを供給してくれる面がある。何でも自粛してしまうことなく、こんな時こそ被災地への励ましや祈りを込めたイベントや興行を敢行する必要もあるはずだ。(司)

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