リビア情勢はクーサ外相が3月30日、辞任を表明してイギリスに亡命し、カダフィ体制の弱体化が進んでいる。ただ、軍事力ではカダフィ派が反体制派に対して優位で、しばらくはこう着状態が続きそうだ。
リビア介入をめぐっては、アメリカが「世界の警察官」としての役割を果たし続けるのかどうかが最大の焦点。介入に至るプロセスやオバマ政権内の力関係から、アメリカの現状がよく分かる。
オバマ大統領は当初腰が引けていたが、クリントン長官、ライス国連大使ら女性陣がオバマ氏を強力に説得し、軍事介入に持ち込んだ。これは、オバマ氏に「世界の警察官」としての使命感が薄いが、クリントン長官らにははっきりあることを示している。
一方、ゲーツ国防長官は当初、介入反対を主張。今も戦略目標をカダフィ派による市民虐殺阻止に置き、なるだけ米軍の関与を減らそうとしている。米軍はアフガン戦争(10万人)、イラク戦争(5万人)に加え、日本の震災救援に1万8千人を割く。そこにリビア介入もオンされ、財政負担が重くのしかかる。
どっちつかずのオバマ大統領。超大国の役割に徹するクリントン長官。お金がかかり過ぎるのは困るという現実派のゲーツ長官。三者の関係が今のアメリカを象徴している。
しかし、自国の利益と共産党政権の維持しか考えない中国、海上航行の自由の上に繁栄を築きながら自らそれを守る意志のない日本に比べれば、実質的に「4つの戦争」を戦うアメリカの行動力は見事だ。衰退論が強まっているとはいえ、それでも世界はアメリカのリーダーシップによって動いている。(織)
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