26日付朝日新聞によると、国連の世界食糧計画(WFP)などが、北朝鮮への食糧約43万トンの支援を各国に呼びかける報告書をまとめた。北朝鮮が昨年末から世界各国に食糧支援を要請していたのに応えるかたち。

WFPは今月10日までに実施した調査・分析に基づき、北朝鮮は昨秋以降の冷害などで約109万トンの食糧が不足すると分析。そのため、穀物や栄養強化食糧など計43万トンを社会的弱者に支援すべきだとした。また同日付産経新聞によれば、インド政府は25日、北朝鮮への緊急人道支援としてWFPを通じ100万ドル(約8100万円)を寄付。支援金で購入した豆類などの食品が、北朝鮮の子供を持つ母親と子供に配布されるという。

飢えに苦しむ人への支援は人道上、必要だろう。だが問題は、食料が本当に北朝鮮の一般民衆の手に届き、それが諸外国からの支援によるものだという情報も正しく北朝鮮国民に伝わるかどうかだ。発展途上国への支援物資は国連経由であっても、途中で転売されたり消えたりして、本来の支援目的を果たせないことがしばしばある。

大川隆法総裁はかつて1995年7月の大講演会で、北朝鮮の独裁政権延命に手を貸すコメ支援を安易に決めた当時の日本政府を叱責し、こう説いた。「再びコメを出すのであるならば、日本の政府は、少なくとも一つは条件をつけなくてはなりません。日本のマスコミ――新聞や雑誌、テレビが、1ヵ月間、自由に北朝鮮を取材することの許可を求めなさい。(中略)ほんとうに民生用に使われたのかどうか」

北朝鮮は国際社会に食糧支援を要請した以上、食糧の行き先を国内外にきちんと公表する義務がある。だが残念ながら、これまでの経緯から見て彼ら自身の発表は信頼性が低い。本当に食糧を国民に正しく流しているなら、各国のマスコミを受け入れて食糧の行き先を取材させることを、支援の条件として受け入れさせるべきだろう(司)

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