木村 貴好

プロフィール

(きむら・たかよし)1971年、埼玉県生まれ。筑波大学第二学群生物学類卒。同大学院修士課程(環境科学)修了、同農学研究科博士課程単位取得後退学。博士(農学)。応用昆虫学分野の研究を行う。農業生産法人、茨城県農業総合センター生物工学研究所を経て、2008年、幸福の科学に奉職。現在、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティの未来産業学部アソシエイト・プロフェッサー。「自然と環境」「基礎生物B」などの授業を担当。著書に『スピリチュアル自然学概論』。

スピリチュアル自然学概論

スピリチュアル自然学概論

木村貴好著

HSU出版会

今後、編集部より「もういいです」と言われない限り、新しい生物学に関する記事を不定期で連載させていただきたいと思います(笑)。今回と次回は、その導入の話です。

新しい生物学と言っても、生命科学の新技術ではなく、拙著『スピリチュアル自然学概論』をベースにしつつ、生物の見方や自然観の提言、生命や科学の思想・哲学も含んだ内容の紹介を考えています。「生命の探究」というテーマを掲げたいと思います。

ただ、単に学問上のことだけではなく、本誌「ザ・リバティ」でも初期から提言している脳死問題や、異民族や信仰者から臓器を摘出する中国の「臓器狩り問題」に対しても、強い問題意識をもっています。

こうした"心なき無明の時代"を生み出している原因は、現代生物学、特に唯物論的進化論に間違いなくつながっているためです。

多くの現代人は、自然科学が世界のほんの一部しか説明していないことを知らずにいます。自然や生物への見方を変えることで、今まで見えてこなかった世界に光が当たるようになるでしょう。そして、その領域は、ここ数百年の自然科学で見えなかった、科学にとっての「フロンティア」なのです。

投網の網目より小さい魚はとれない

ここで、一つのたとえ話をしたいと思います。昔々、ある島国で、人々は長い間、銛(もり)や釣り竿を使って漁を続けていました。

ある時、とある漁村で、網目が10センチ四方の大きな投網をつくることに成功しました。とても使いやすく、多くの魚がとれるので、あっという間に村中に広まり、その村の漁師は、すべてそれを使って漁をするようになりました。

その漁村は、大きな魚を効率よく捕まえることで食生活が安定し、人口も増えて経済も潤ったため、従来どおりの方法で魚をとっていた近くの村々を侵略し、滅ぼしてしまいます。降伏したわずかな人々は、銛や釣り竿を捨て、投網を使うことを許されました。

そして数十年後、その島国の学校からこのような言葉が聞こえてきました。

先生 「海には、10センチ以上の魚しかいません」

生徒A「はい、海には10センチ以上の魚しかいません」

先生 「この網を使って、いつでも確かめられる真理ですね」

生徒A「はい、海には10センチより小さな魚はいません」

生徒B「でもおじいちゃんは小さい魚を見たことがあるって言っていたよ。魚のおなかにある卵だってあんなに小さいんだよ」

先生 「ちょっと、君、どこの村の出身だ!? 後で職員室に来なさい。他のみんなはこんなことを言っちゃ駄目ですよ」

どうもその島では、こうした教育がされているようなのです。