日本人の健康寿命は世界一。今世紀後半にも、100歳まで生きることが一般的になると言われています。

「老後資金2000万円」などの問題がささやかれている中で、年齢を重ねても輝いている人生の先輩が、日本にはたくさんいます。

本欄では、7月末発刊の本誌9月号記事「『大人の夢』の描き方――人生100年を戦略的に生きる」( https://the-liberty.com/article/16065/ )に掲載しきれなかったエピソードも含めて、75歳の時に、パキスタンで技術指導をした松岡浩史さんの「70代で海外に挑戦した男の奮闘記」を4回にわたり紹介します。今回は、第2回です。

(聞き手 飯田知世)

◎2019年8月18日付本欄 【70代で海外に挑戦した男の奮闘記】

「始まりは憧れの仕事での劣等感」(1)

https://the-liberty.com/article/16144/

◆ ◆ ◆

「この年まで生きたから"もう十分"」が背中を押す

75歳の時に、政府開発援助(ODA)などをやっている国際協力機構(JICA)から、「省エネルギーを指導するJICAのプロジェクトで、技術者としてパキスタンに行かないか」という話が来たんです。JICAのコンサルタントをしている知人からの誘いでした。

誘いがあったことを周りの人に話すと、「治安が悪いから行かない方がいい」と引き留められました。でも私は逆に興味が湧きました。「治安が悪いってどういうところなんだろう? 知りたい!」と思ったんです。

それに、私ももうこの年じゃないですか。だから、「自分もこの年まで生きたから十分だ。その時はその時でいいや!」と思って。治安が悪いことへの不安よりも、興味の方が強かったので、行くことにしました。

英語の壁も……意外と大丈夫!?

でも、私は英語が全然できなかったんです。「行くのはいいけど、英語は全然話せないよ」と言ったら、「英語が話せる人がフォローするから大丈夫」と言われました。他の人は、TOEIC800点くらいの英語力があるそうなんです。「私はいいのか?」とも思いましたが……。

ただ、プロジェクトに参加するにあたって、JICAに書類申請が必要で、「英語の試験を受けないとJICAの審査は通らない」と言われたんです。私はそれまで、英語検定もTOEICも受けたことがなかったので、しょうがなく、TOEICを受けに行くことにしました。

ただ、「試験はA・B・C・Dの4択のマークシートだから、色んな記号にマークしたら点数が下がってしまう。だから、BならB、CならCにマークをつけた方がいい」っていう助言をもらいました(笑)。それで、「わかった」と言って、受けに行ったんです。

TOEICの試験会場に行ったら、みんな若い人ばっかりでね(笑)。私みたいな白髪頭っていないんですよ。案内の人に「お父さんはこっちで待っててくださいよ」と言われて、「いや、私も受験生なんだ」と言ってしまいました。

事前に1~2回勉強してから試験に臨みましたが、案の定、リスニングはほとんど分からないし、文章を見てもさっぱり。だから、「事前に言われていた通りにしよう」と思って、全部Cにマークして、試験を終えました。

通知がきたらね、200点(笑)。ちょうど、満点の990点の4分の1くらいだったので、「やっぱり確率当たってるんだな」と思いました(笑)。

後で聞いたのですが、JICAの書類申請は、点数を申告する必要がないそうなんです。だから、試験を受けること自体が重要だったみたいです。

こうして無事に書類審査をパスして、パキスタンに行くことが正式に決まりました。

契約は2年で、1年のうち4カ月行くんですよ。2カ月行って半年くらい休んで、また2カ月行って。それを繰り返して2年行きました。なかなか楽しかったですよ。

(続く)

【関連記事】

2019年9月号 「大人の夢」の描き方 ──人生100年を戦略的に生きる

https://the-liberty.com/article/16065/

2016年5月号 日本経済はワシらが救う! 年金・介護より、一生働ける社会に Part 1

https://the-liberty.com/article/11112/