東日本大震災で津波に襲われた岩手、宮城、福島の3県で、堤防約300キロのうち3分の2の約190キロが全半壊したことが19日、国土交通省の調査で判明した。海岸沿いの堤防だけではなく、河川の堤防も破損。首都圏では、治水上、最重要と位置づけられる埼玉県の江戸川右岸の堤防も崩れたという。東北・関東の海岸と河川の堤防被害は1226カ所。
今後、海岸、河川とも堤防の強化が必要となる。堤防と言えば、先ごろ、蓮舫・行革担当相と石原都知事とがスーパー堤防が必要かどうかをめぐって論争した。蓮舫氏は「400年かけて事業する意味が分からない」と事業仕分けでこの堤防予算をカット。石原氏は「もう一回見直しましょう」と言って譲らなかった。
蓮舫氏の言うことは正論のようにも見えるが、公共事業を考えるときに400年という単位は短いわけではない。400年前、戦国大名の武田信玄が今の山梨県内に築いた堤防「信玄堤」は今も河川の氾濫を抑えている。1200年前、空海が改修したことで有名な香川県の満濃池は、今も日本最大の灌漑用のため池として役立っている。
海外の公共投資を見ても同様だ。「すべての道はローマに通ず」と言われた古代ローマの道路は、2000年以上前に造られたものが今も国道として機能しているものがある。
海岸や河川の堤防は国民の命を何百年、何千年と守っていけるからこそ、やる意味がある。
防災のための公共投資の意義を認めない蓮舫氏は見識を欠いており、閣僚の資格はない。(織)
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