8日から9日にかけてエジプトで発生したイスラムと教徒とコプト教徒との衝突で、コプト教徒13人が亡くなった。コプト教徒21人が亡くなった新年の教会爆破事件に次ぐ惨事となった。

きっかけは、8日に起きた南部の教会放火事件に抗議するコプト教徒数百人が幹線道路を封鎖したことで、これに怒った近隣のイスラム教徒がコプト教徒を襲撃したという。1月に起きたコプト教徒によるイスラム教徒への略奪行為への反撃とも言われている。

前政権のときから、治安当局は両者の対立を抑え込みつつ、宗教対立そのものには見て見ぬふりをしてきた。その対症療法的やり方が、両教徒の敵愾心を鬱積させてきた面がある。

自由な民主主義は、宗教に関しても寛容を基礎とする。ムバラク政権が崩壊し、内務省も力を失い、軍も態度を決めかねるなか、両者の宗教対立に歯止めがかからなければ、「やはり中東や北アフリカでは自由な民主主義国家を建設することはできないのでは」との疑念を世界が抱いてしまうだろう。(HC)

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