11日付毎日新聞によると、インド政府に対して「治安当局に無実の家族らを射殺された」と訴えるイスラム教徒による告発数が、01年以前と以後の各9年間を比較すると、約4倍の144件に増加していることがわかった。
インドは長年、イスラム教国である隣国パキスタンと対立しており、領有権を争う北部カシミール地方を中心に、イスラム教徒とインド治安当局との衝突が多発してきた。特に01年の米同時多発テロ以降、インドは米国の「テロとの戦い」を支持し、国内で多発するテロ事件についても、イスラム教徒を断罪する傾向が強まっている。
またテロを防げない治安当局への不満も高まっているため、治安当局が犯人を「でっちあげ」、無実のイスラム教徒を攻撃する例が増えていると見られる。
「テロとの戦い」は、あくまで一部の過激派に対する正当なものであるべきで、イスラム教徒全般への宗教的差別はあってはならない。米国のイラク戦争も泥沼化しているが、対立の構図は輸出され、悪影響は様々な国に及んでいる。中東の混乱も、その奥には宗教的な対立がある。
宗教の違いを乗り越えることができるよう、中立的な立場にある日本こそが、高い関心を持って働きかけていく必要があるだろう。(由)
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