サウジアラビア政府を批判してきた米国亡命中のサウジ人記者ジャマル・カショギ氏が今月2日、トルコのサウジ総領事館を訪れて行方不明になっていた事件で、サウジ検察は20日、カショギ氏が「館内にいた人物と口論になり、殴り合いに発展して死亡した」と、国営メディアを通じて発表しました。

これまでサウジ側は、カショギ氏の死亡を一貫して「根拠のない嘘」と否定していましたが、失踪当日にサウジから送り込まれた工作員15人の写真や、総領事館内でカショギ氏が工作員によって殺害され、遺体が切断されたことを示す音声記録の存在などが次々と報道され、サウジ政府の関与が濃厚になっています。

真相究明を求める国際的な批判が高まり、サウジ政府は当初の説明を覆し、事件に関与したとして、情報機関の副長官など5人を更迭し、サウジ国籍18人を拘束しました。

事件への関与が疑われていたムハンマド・ビン・サルマン皇太子への批判を避けるため、早期の幕引きをはかる狙いがあるとみられます。

本欄では、国際社会で話題になっている事件の背景と、ムハンマド皇太子が進める改革の「光と闇」について見ていきます。