アメリカで一番幸せな人間が誰か知りたければ、この男に会え――。7日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、ギャラップ調査が過去3年間にわたって実施してきた「幸せな人生」についての調査結果を踏まえて「全米一幸せな男」を紹介している。何事も抽象論で終わらせないプラグマティック(実用主義的)なアメリカの国柄が感じられて興味深い。
ギャラップ調査によれば2010年現在、女性より男性、中年より年配者のほうが幸せとの結果が出た。最も幸せな人物像に選ばれたのはホノルル在住のアルヴィン・ワン氏。69歳の中国系アメリカ人で、食物禁忌を遵守するユダヤ教徒であり、健康マネジメント会社を経営して年収12万ドル(約1千万円)を稼ぎ、妻と子供たちと暮らしている。
ワン氏は電話インタビューに答えてこう話している。「私なんかがアメリカで一番幸せな人間だとしたら、自分なりの人生哲学(my life philosophy)のおかげです。つまり、自分のことを笑い飛ばすことができないと、人生は結構つらいものになるということです。これって役に立つジョーク(a practical joke)でしょう?」
十分な年収や家族に恵まれていることに加え、信仰とポジティブな人生哲学が幸せの条件として欠かせないというのが、いかにもアメリカらしい。物質的豊かさと人間関係の豊かさに、心と信仰の豊かさが伴い、しかも69歳という年齢まで生きてこそ人生の幸せの味わいが分かるというのは、傾聴すべき事例ではないだろうか。(司)
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