アメリカの財政をめぐって、オバマ政権と野党・共和党の対立が激しくなっている。昨年の中間選挙に勝利した共和党が8兆円規模の歳出カットを主張し、民主党政権は「景気に悪影響が出る」と反発している。果たしてどちらが正しいのか。
4日付の米ニューヨーク・タイムズ紙で、ノーベル経済学賞の経済学者ポール・クルーグマンが例によって、緊縮財政への反対を述べている。同氏のコラム「景気回復の潰し方」の要点は以下の通り。
・景気回復するかどうかの明らかな危機は、議会の共和党による支出カットの要求から来る。これらの歳出削減は、直接的・間接的に数十万人の雇用を減らし、所得の増加や貸し出しの促進などの善の循環を断ち切る。
・昨年10月のIMFの調査は、緊縮財政が短期的に経済活動を刺激するという(共和党の)主張はデータの裏づけがないと結論づけた。(歳出削減を始めたイギリスでの)最近の調査は、ビジネスや消費における信用が収縮しており、民間経済が公共部門の歳出削減の穴を埋める準備ができていないことを示している。
・共和党は短期的にも長期的にも歳出カットによってアメリカ経済を改善すると言っているが、真実はまったくその逆だ。共和党の提案する歳出削減は、アメリカの未来を壊し、景気回復を止める役割を果たすだろう。
共和党が求めているのは財政再建だ。日本の菅政権が進める消費税増税と同じスタンスに立つ。クルーグマンの言葉を借りれば、「日本の民主党が提案する消費税増税は日本の未来を壊し、景気回復を止める役割を果たす」ということになる。(織)
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