農協を束ねる全国農業協同組合中央会(JA全中)が4日、水田を中心に農地の大規模化を目指す提言を行った。これはJAにとって、小規模の兼業農家の保護に取り組んできた従来路線の転換である。

現在、農家や法人など1経営体あたりの水田耕作面積の平均は2.2ヘクタール。提言では、分散する小さな農地を集落ごとに20~30ヘクタール規模に集約し、専業農家や農業生産法人などに耕作を担ってもらうイメージだという。この背景には、JA自ら「改革」に動きだす姿勢を見せることで、政府の環太平洋経済連携協定(TPP)参加をけん制する狙いがある。

だが、この「改革」が本当に農地の大規模化につながるかは疑問だ。提言の中でも、「全集落に農協の職員を配置して、集落営農ビジョンを策定する」と謳うが、これでは農協支配を強めることにならないか。「小規模農家や兼業農家の保護方針は維持したままで、国際競争力を高める大規模集約型の農業とはほど遠い」(4日付産経新聞)という指摘もある。農地の大規模化については、2月末、政府が「農地バンク」の設立を検討していると報じられたが、これも国家による「農地の一元管理化」という意味合いが強い。

国際競争力の高い農業、効率的な農業を実現するためには、農水族の政治家や一部団体などの既得権益を温存するのではなく、民間企業の参入を認めて自由な土地の売買を促すことである。(格)

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