ベトナムが計画している東南アジア最大規模の交通・物流インフラ整備事業を、日本の政府・民間企業が共同で手掛ける方向が固まったことを、3月3日付日本経済新聞夕刊が報じている。
対象となるのは、北部の「ラックフェン港」と、南部の「ロンタイン空港」。ラックフェン港は、2015年の完成、シンガポールやバンコクと並ぶ東南アジアのハブ港を目指す。ロンタイン空港は、2016年の完成、年間利用客1億人、貨物取扱量500万トンを想定した東南アジア域内で最大規模の空港を目指すという。
この事業には、日本政府や伊藤忠商事、成田国際空港など官民共同で取り組む。総事業費は約5000億円で、政府開発援助(ODA)や民間資金を投入。いずれもベトナムの発展を支える基幹インフラとなることは間違いないが、設計から運営までを手掛けるシステム輸出が、日本経済の活性化にもつながるだろう。
だが、もう一つ押さえておきたいのは、「国防」という観点だ。東南アジア地域を巡っては、中国が援助でメコン川に橋をかけたり、中国・タイ・ラオスを結ぶ高速道路「南北経済回廊」の整備を進めるなど、積極的な経済援助を進める。また米国も、ベトナム、カンボジア、ラオス、タイの各国外相に対し、メコン川下流域のインフラ整備、環境衛生、教育などに1億8700万ドル規模の援助を行うことを約束している。
米中が競って東南アジア地域との密接な関係を築くのは、自国にとって経済的にも、国防上も、重要な地域だと判断していることを示している。今回の日本の動きに、どこまでの「狙い」があるのか分からないが、日本も、経済的なつながりが国防にも通じるという視点を強く意識する必要があるだろう。(格)
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