オウム真理教の犯罪をいち早く見抜き、デモ行進を続けた幸福の科学の信者たち(1995年3月)。

地下鉄サリン事件など計13の事件で27人を死なせた罪により、オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚の死刑が6日、執行された。他に6人の元幹部の死刑も執行された。

戦後最大級の無差別殺人事件に、一つの区切りがついた形となる。

あの一件以来、「宗教は全て怖い」という印象が広がった。しかし、彼らの凶行を率先して止めたのもまた宗教であったことは、あまり報じられていない。

通報・デモで捜査を後押しした幸福の科学

オウム事件の解決には、幸福の科学が大きく関わっている。

1995年に起きた地下鉄サリン事件の約1カ月前のこと。目黒公証人役場事務長の仮谷清志さんが拉致監禁され、殺害される事件が起きた。

オウム真理教に入信していた仮谷さんの妹が、目黒公証人役場の土地・建物を教団に布施するよう強要されたため、妹が教団から逃げ出し、仮谷さんが匿っていた。そこでオウム側は、東京都品川区の公証人役場から出てきた仮谷さんをワゴン車に押し込み、山梨県上九一色村(当時)の教団施設に連れ去ったうえ、麻酔薬を過剰に投与して死亡させた。

この事件の平田容疑者らによる犯行を偶然に目撃した第一通報者が、実は幸福の科学の職員だった。通報後、警視庁はオウム真理教による犯罪として捜査を開始。

しかしオウムは、シラを切り通した。警察側も「信教の自由の侵害」という批判を恐れて、やや腰が引けていた面があった。

それに対して幸福の科学信者たちは全国で「オウムよ、仮谷さんを解放せよ!」とビラをまき、デモを展開。麻原の逮捕とオウム教への強制捜査を訴えた。その後3月20日に「地下鉄サリン事件」が起こり、警視庁が重い腰を上げて強制捜査を行った。

事前にこうした通報や捜査への後押しがなければ、強制捜査は遅れ、東京上空から大量のサリンを撒くというオウムの国家転覆計画が実行されていた可能性もある。

警視庁は捜査が一段落した同年9月、拉致事件を目撃し通報した幸福の科学に対し、「一連の事件の捜査に対し心温まる激励をされ、全容解明に多大な貢献をされました」「ここに感謝の意を表します」と感謝状を贈っている。

オウムは世界標準では宗教と言えない

宗教というのは本来、犯罪行為を抑止するものだ。仏教にも聖書にも「殺すなかれ」「盗むなかれ」「騙すなかれ」といった戒律がある。仮にそうした犯罪が他人に見つからずとも、神仏が見ていると考える。逆に、無神論を標榜する国家は、容易に人権弾圧を行う。

「宗教の判別は難しい」という声は多い。あれだけの事件が起きれば、疑心暗鬼になるのも仕方がない面もあるかもしれない。しかし、オウムは世界宗教にある基本的な戒律を全て破っている。とうてい宗教とは言えない。

こうした最低限の宗教的教養が、社会に有益な宗教を排除せず、同時に有害な宗教を遠ざける助けになるはずだ。

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