日本経済をけん引する東京・大阪・名古屋の三大都市圏の人口が減っている。総務省が2月28日に発表した、2010年の住民基本台帳に基づく人口移動状況で明らかになった。基本的に三大都市圏は、出て行く人(転出)よりも、入ってくる人(転入)の方が多い「転入超過」だ。しかしこの転入超過の幅が、09年に比べて約7万6千人、約3割も減り、3年連続で縮小。10万人を下回るのは10年ぶり。
その主な要因は、「雇用の減少」である。象徴的なのは愛知県。14年ぶりに転入よりも転出が上回ったが、トヨタの業績不振など自動車分野で人員削減が続いたといい、総務省も「職を失った人が県外に転出したもようだ」(日経新聞3月1日付け朝刊)としている。
雇用が減ると都市部から人が減ることを示しているが、この流れを「願っていた人」がいる。菅直人首相だ。首相は1996年の著作『日本大転換』で、「私は、東京は将来、200万くらいの都市に再編されていくべきだと思っています」としている。当時の東京の人口は約1200万人なので、6分の1まで減らすということだ。
だが、法人税全体の約半分を東京の企業が納めていることからも分かるように、都市部で新しく生まれた雇用やサービス、富が日本経済をけん引しているのは事実。たくさんの雇用があって、利便性の高い都市部に人が多く集まるのは自然なことだ。地方の活性化が大事なのはもちろんだが、「都市部を貧しくすれば、地方が発展する」という悪平等的な考え方では、都市も地方も、国そのものも衰退していく。4月には東京都知事選が控えているが、積極的に東京の発展を進める候補者を応援したい。(格)
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