少子高齢化が進むなか、本誌では、高齢者の労働力の活用を提案してきた。
75歳ぐらいまで十分働くことができる「75歳現役社会」をつくることで、高齢者が経済的に自立するだけでなく、生きがいや幸せを手にすることができるという考えだが、まさにそうした高齢者の労働力の活用に成功している企業が米国にあった。3月1日付のダイヤモンド・オンラインが米国のヴァイタニードル社を紹介している。
ダイヤモンドによれば、この企業では、従業員48人の約半数が65歳以上の高齢者で、中間年齢は74歳だという。
99歳の最高齢者の人は「最近は目と足が悪くなったが、それでも会社は私にできる仕事を用意してくれる。私を必要としてくれる限り、100歳を過ぎても働き続けたい」と言う。高齢者にとって働くことの意味と目的は、単にお金を稼ぐことだけではない。仕事を通して社会に貢献し、自分が必要とされる存在であると実感することが大切なのだ。
ヴァイタニードル社は、病気や休暇などで欠勤した人の補完ができるように、労働者はみな複数の仕事を処理する教育訓練を受けたり、長時間の立ち作業などで腰痛にならないように床を柔軟性のある材質に変えたり、座りながら作業ができるようにするなど、柔軟かつ快適に働ける職場環境を提供することで従業員の士気や生産性を高め、2000年から2010年にかけて売上を約3倍に伸ばした。
75歳まで働き続けられる社会をつくり、高齢者向けの仕事を増やすことによって、高齢者が生きがいを持ち、働く喜びを味わえるだけでなく、高齢者が経済的に自立すれば、年金問題の解決にもつながる。それが可能であることをヴァイタニードル社の事例は示していると言えよう。(吉)
【参考記事】年金問題の根本解決 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=803
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