(画像は Wikipedia より)

《本記事のポイント》

  • 西郷どんは今の政治家を見たら、「全員クビだ」と言う
  • 日本の安全保障情勢を見たら、攘夷論の必要性を説くだろう
  • 日本に必要なのは、邪悪なものを憎む「正義の心」

7日夜から、NHKの新大河ドラマ「西郷どん」の放送が始まる。

主役の西郷吉之助(隆盛)は鈴木亮平さん、大久保正助(利通)は瑛太さん、島津斉彬は渡辺謙さん、於一(篤姫)は北川景子さん。日本を代表する俳優たちが、明治維新の英雄を演じ、期待が高まっている。

西郷と言えば、薩長同盟を結び、薩摩軍の総指揮官として旧幕府軍を破り、江戸城を無血開城させた人物だ。明治維新後には「廃藩置県」を断行した。座右の銘は、「敬天愛人」。大河ドラマでも、「愛に溢れたリーダー」として描かれるという。

では、西郷が今の日本を見たら、何と言うだろうか――。

多くの国民はそれを知りたいであろう。それについて、大川隆法・幸福の科学総裁は2016年6月、西郷の霊言を収録。この内容は『政治家の正義と徳 西郷隆盛の霊言』として出版されているが、今回はこれを元に、その疑問について考えてみたい。

財政赤字をつくった政治家は、「全員クビ」

まずは、政府が抱える巨額の財政赤字について、どう考えるだろうか。

2017年度の国と地方を合わせた債務残高は、約1100兆円。対GDP比は約239%と、極めて大きい。アメリカは約108%、イギリスは約89%、ドイツは約65%、イタリアが約133%であることから考えても、世界最悪の水準だ。

西郷の霊は、これほど財政赤字を増やした政治家について、「全員、ファイアー(クビ)だ!」として、こう厳しく叱った。

それだけの借金をつくった政治家は帰ってこれないし、それから、国会議員としての一生の年金みたいなのも、こんなもん、全部返納だわな、当然。当ったり前じゃないか。まずは経営陣を刷新しなきゃいけないんだろう?だから、全部クビだよ。現議会に勤めておる人たちはクビだよ、(机を叩く)全員。帰ってきちゃいけない。解散してもいいけど、帰ってきちゃいけない(机を叩く) 」(『政治家の正義と徳 西郷隆盛の霊言』)

「愛の人」というイメージとは異なり、西郷はなかなか手厳しい。まるでトランプ米大統領のようだ。

ただ、約1100兆円もの財政赤字をつくった政治家の罪は、たしかに重い。そんな政治家であっても、再選を果たしているのが現状だ。民間企業の社長ならありえない話だろう。

また、西郷らが明治政府を樹立した目的は、「四民平等」の世の中をつくるためでもあった。しかし、現在の政治家の大半は世襲議員で、新規参入の余地は少ない。これでは、江戸時代の門閥制度とほとんど変わらないだろう。

「今、必要なのは攘夷論だ」

さらに明治維新のきっかけは、黒船の来航だった。これを機に、西欧列強の侵略に立ち向かう「尊王攘夷論」が高まり、江戸幕府は倒れた。

現在の日本を取り巻く現状を見ると、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が「核のボタンが机の上にいつも置かれている」と威嚇し、中国の習近平国家主席は年初から、陸海空などの全軍を動員し、大規模な軍事訓練を行った。

日本は、江戸末期と同じく、国家存亡の危機にある。西郷の霊も、「今、必要なのは攘夷論だ」として、こう語っていた。

『攘夷』ったってさ、もちろん、それは、『ほかの国をよくしていきたい』っていう人たちを拒否しているわけではないよ。『そいつらに取られたら、大量虐殺が起きて、国は奪われ、文化も奪われる』というのが見えてるような国に対しては、攘夷は『圧倒的な正義』ですからね。(中略)中国がやっとるような、チベットだ、ウイグルだ、その他を見たら分かるじゃない。取った国がどうなるか。全部、国の『文化』も『伝統』も捨てられるんだからさ 」(前掲書)

中国の人権弾圧について、ドイツに亡命したウイグル人のエンバー・ジャン氏は編集部の取材に対し、「ウイグル人に対して、宗教的・民族的『浄化』が行われています。漢族との同化政策で、1949年には人口のわずか4%だった漢族が、現在はほぼ半分を占めています。地域によっては、ウイグル語での教育も禁止されています」と語っている(本誌2018年2月号)。

もし、日本が中国の占領下におかれることになれば、ウイグルと同じ運命に直面することになる。つまり、言論や出版、信教の自由などのあらゆる自由が奪われ、当局の意向に従わない者は拷問・虐殺されるということだ。

自国を守れる戦力を持った上で、対話すべき

韓国と北朝鮮は、9日に高位級会談を行うことで合意したが、西郷の霊は、北朝鮮に対する対話路線についてこう語っている。

私らが言ってるのは、『話し合っても構わないけども、自衛隊は、中国が土足で上がってきたら、それを追い返せるだけの実力が必要だし、北朝鮮が日本を挑発するんだったら、それは、彼らの軍事基地を、徹底的に叩き潰すぐらいの戦力はちゃんと持っておくべきだ』と。それで話し合うんなら、十分な話し合いができるけど、(戦力を)持ってないで話し合うっていうのは、延命というか、民族を生き長らえさせてもらうために懇願するということになるからなあ 」(『政治家の正義と徳 西郷隆盛の霊言』)

幕末期にも、西洋列強が軍事力を背景に、不平等条約を押しつけてきた。これに対し、明治政府は「富国強兵」「殖産興業」を国策に掲げて対抗した。「自分の国を守れる戦力を持った上で、対話すべきだ」というわけだ。

「邪悪なるものは、断固として粉砕する」

安倍晋三首相は、年初の記者会見で「今年こそ新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示する」と述べた。しかし、憲法9条については「自衛隊の存在」を書き加える(加憲)ことにとどまり、「戦争の放棄」「戦力の不保持」という条文を残すつもりだ。だが、これでは「自分の力で自国を守る」という国家主権が放棄された状態に変わりはない。

こうした状況を見て、西郷は「日本人は臆病だ」と言うのではないだろうか。西郷の霊は、維新の志士と今の政治家の違いについても、次のように語っていた。

わしらはさあ、『永遠の魂』を信じておったし、『神仏の存在』を当然のことと思っておったから。『この世にあるかぎり、神仏の願う正義を実現するためにこそ、わが肉体生命はある。そのお役に立てないなら、肉体生命、生き長らえて意味なし』というのが基本的な考えだからね。だから、死ぬことも恐れなかったわけであって

正義っていうのは、基本的には、やっぱり、『邪悪なるものは憎まなければならない』んだよ。邪悪なるものをねえ、繁栄させたり、生き延びさせたりしてはならないっていうこと。この邪悪なるものの拡散に対して、『断固、盾となって、それを防ぐ』っていう、あるいは、『粉砕する』というとこまで行かないといけないんだよ 」(前掲書)

西郷が望んだのは、「日本に精神棒を入れる」ということ。西郷は、とりもちのように人を引きつける愛だけでなく、「邪悪なものは断固として許さない」という強い正義感を併せ持った存在だった。こうした相反する考えを持っていたからこそ、西郷は「徳ある人」として尊敬されているのだろう。

大河ドラマを見る時には、西郷の「愛」とともに、「正義の心」も感じ取り、日本がどうあるべきかについて、考える契機としたい。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『政治家の正義と徳 西郷隆盛の霊言』 大川隆法著

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