《本記事のポイント》

  • 福岡市が緊急速報メールによるミサイル訓練を実施
  • 「これで警告になるのか」という声
  • 日本は最悪の事態を想定し、国防の強化を

福岡市は1日、北朝鮮からの弾道ミサイルが上空を通過したと想定し、緊急速報メールを配信する訓練を実施した。こうした訓練は、10月に行われた青森県深浦町の訓練に続き、全国で2例目。

午前10時と午前10時5分の2回、福岡市内にあるすべての携帯電話に、着信音と共に弾道ミサイルが発射されたことを知らせるメールが配信された。

市営地下鉄と西日本鉄道は、市内を走行している30車両を最寄り駅で停車させた。JR九州の在来線の車両は、受信した時点で、その場に停止したという。天神中央公園では、近くの会社員や市の職員など約50人が、地下通路に避難するなどの避難訓練を行った。舞鶴小学校でも、児童ら約600人が避難訓練に参加した。

福岡市に住む人々の反応

福岡市在住の40代男性は編集部の取材に対し、「明るい高音の普通の着信音で、これで警告になるのだろうかと思いました。正直、音が鳴っただけで物足りません。バスもあまり止まっていませんでした。私は、高島宗一郎・福岡市長のフェイスブックを見ていたため、訓練があることを知っていましたが、知らない方もたくさんいたと思います」と語った。

また福岡市在住の50代女性は、「新聞やテレビを通して、アラームがあるのは知っていました。緊迫感はありませんでした」と答えた。

別の50代女性は、「私は自宅のマンションにいました。マンションには避難場所に誘導する表示があるのですが、特に避難訓練はありませんでした。"こんなものだろう"と思ってしまっていいのでしょうか」と心配する。

北朝鮮は再び核実験に踏み切る可能性も

福岡市が、全国に先駆けてミサイル発射に備える訓練を行ったことは評価すべきだが、実際に身を守るという意味では"物足りない"というのが、正直なところだ。

例えば、本来ならば、企業や学校を含め、市全体を挙げて避難訓練を行うことが望ましい。また、「地下や頑丈な建物などに避難する」「窓から離れ、カーテンを閉めて閃光を見ないようにする」「水道水の放射能汚染に備え、浴槽に水を溜める」といった身を守る方法を広報するなど、他にもできることはある。

また日本政府は、全国の地方自治体に避難訓練の実施を呼びかけているが、実施するか否かは各自治体に任されている。

日本人全体に危機感が乏しい中、北朝鮮は11月29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15型」を日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に撃ちこんだ。今回の発射成功により、核を搭載したICBMが全米に到達する能力を得た可能性がある。当然ながら、すでに日本は射程圏内だ。

北朝鮮の軍幹部は、近く7度目の「最も強力な核実験」に踏み切る可能性があると述べている。国際社会による経済的圧力がじわじわと効いてきている北朝鮮が、最後に"暴発"する可能性も否定できない。日本は最悪の事態を想定し、最善の防御戦略でもって、太刀打ちしていく必要がある。

(山本泉)

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