北朝鮮のものとみられる漁船の漂着が相次ぐ 違法操業のみならず工作員の上陸も可能に?

北朝鮮のものとみられる漁船の漂着が相次ぐ 違法操業のみならず工作員の上陸も可能に?

 

《本記事のポイント》

  • 北朝鮮のものとみられる漁船の漂着が相次いでいる
  • 食糧難を打開するために北朝鮮は漁業を国民に推奨し、遭難者が急増している
  • 最悪の事態を想定し、海辺の警備強化と捜査を徹底する必要がある

 

日本海沿岸で、北朝鮮のものと思われる木造船の漂流・漂着が相次いでいる。今年に入ってからすでに約50件、11月だけで15件が確認された。

 

その多くが、日本の排他的経済水域内にある、石川県・能登半島沖約300キロの漁場「大和堆(やまとたい)」や、北海道・稚内南西沖約100キロの漁場「武蔵堆」などの好漁場で違法操業をしていた漁船とみられる。15日付読売新聞によると、11月上旬に大和堆で操業していた日本漁船が、レーダーや目視で約1000隻の違法操業している漁船を確認したという。

 

26日には秋田県男鹿市の海岸で北朝鮮船の可能性が高い木造船がみつかり、中から8人の遺体が発見された。この他にも、青森、石川、新潟、山形などで多数の漂着船が確認され、約2週間で17人の遺体が発見されている。

 

 

食糧難で増える遭難者

こうした漁船に乗っていた人が、命の危険を冒してでも違法操業をしている背景には、金正恩政権の国策があるとみられる。

 

核・ミサイル開発を続けている北朝鮮は、国際社会から経済制裁を受け、慢性的な食糧不足に陥っている。そのため、金正恩政権は国民に漁業を奨励している。

 

朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は、「党の水産政策を決死貫徹し、黄金の海の全盛期を切り開こう」「社会主義の海の香りが全国にあふれるようにすべきだ」などと積極的に漁に出ることを呼びかけている(27、28日付産経新聞)。

 

"成果"を上げようと、木造のもろい船で波の高い日本海に無茶な遠出をした結果、遭難事件が相次いでいるというわけだ。

 

 

漂着船には不可解な点も……

こうした違法操業ももちろん問題だが、さらに深刻な事態も迫っている。

 

23日、秋田県由利本荘市の海岸に北朝鮮のものとみられる木造漁船が漂着した。全長約20メートルのイカ釣り漁船で、北朝鮮人とみられる8人が由利本荘署で保護された。

 

一見、ただの遭難事件のように思えるが、いくつか不可解な点がある。

 

まず、食糧と船員の健康状態だ。保護された8人の船員は、1カ月半前に北朝鮮の清津( チョンジン)港を出港し、2週間ほどの予定でイカ釣り漁に出たが、エンジンが壊れて約1カ月間漂流していたという。しかし、当初予定していた2週間を大きく上回る1ヵ月もの間遭難していたにもかかわらず、救助された8人に入院するほどの衰弱は見られなかった。つまり、船内には、1カ月食いつなぐだけの食糧や水が十分にあったということだ。食糧難で国全体が困窮する中、それだけの食料をどうやって入手したのだろうか。

 

健康状態の他に、漂流期間や漂着場所にも疑問が残る。

 

28日付読売新聞は、「仮に違法操業が問題化している大和堆からとした場合、風や潮流次第で早ければ半日、長くても4、5日でここまでたどり着ける」と指摘する地元住民の声を紹介し、1カ月という漂流期間に疑問を呈した。

 

また、船は本荘港の防波堤付近に上陸したが、同紙は、「漂着した23日夜は強風で波が高く、エンジンが壊れた船が防波堤までたどり着くのは至難の業だ」とした上で、ある日本人の遊漁船船長の「消波ブロックへ無事に上陸できるのは、宝くじくらいの確率だ」という声を紹介している。

 

船にはどれだけの食糧が積まれていたのか、エンジンが壊れたという船員の証言は本当か――。こうした疑問を解決する鍵となるのが漂着した木造漁船だが、一度所在が分からなくなっている。

 

漂着した日は波が高かったため、県警が移送作業を見送り、ロープ一本で船体と消波ブロックをつないでいた。すると船は約2日後に係留場所から突然姿を消した。3日間捜索を続けた結果、海底に沈んだ漁船を発見したが、引き揚げると漁船は大破していたという。

 

 

国防は「最悪の事態」を想定すべき

保護された8人の船員は北朝鮮への帰国を希望しており、日本政府はこのまま北朝鮮に送り届ける可能性もある。

 

菅義偉官房長官は24日の記者会見で、船員が北朝鮮の工作員である可能性については「そうしたことも踏まえて慎重に調べていく」とし、引き渡しについては「事案の経過をしっかり聴取した上で判断していく」と述べているが、どこまで厳しく調査が行われるかは不明だ。もし、このまま不可解な点を残したまま帰国させてしまえば、「日本は工作員の疑いがある人でも手厚く保護し、そのまま帰国させる」というメッセージになりかねない。

 

国を守るためには、常に「最悪の事態」を想定して対応を考える必要がある。今回の件であれば、北朝鮮が大量の武装工作員を日本に上陸させる前段階として、少数の工作員を送り込んだという可能性もゼロではない。安易な対応で国民を危険にさらすことがないよう、政府には徹底した捜査とともに、海辺の警備強化を求めたい。

(片岡眞有子)

 

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タグ: 北朝鮮  漁船  漂着  排他的経済水域  工作員  

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