23日付日経新聞は、財務省が都心部の大規模国有地を、10~50年という期間を区切って民間に貸し出す「定期借地方式」で、税外収入の確保に動いていることを報じた。今年度から独立行政法人が不動産を国庫に返納し始めたことを受けた、国有財産の活用という。

菅直人首相は「消費税増税は不可避」として、6月までに一定の方向性を示すために増税議論を加速させているが、増税を言う前に、上の施策のような民間企業であれば当然すべき努力をもっと進めなければいけない。その努力の一つとして、「政府資産の売却」がある。政府は1000兆円の借金を抱えて大騒ぎするが、一方で700兆円の資産を持つ。元財務省の高橋洋一・嘉悦大学教授は、著書『消費税「増税」はいらない』で次のように指摘している。

・政府資産の売却をすでに始めている東京23区以外や、独立行政法人の保養施設などにも広げれば、1兆円以上の売却収入が見込める。

・都内の一等地の低層官舎を、高層ビルに建て替えて民間に売り(空中権売買)、政府は必要な部分だけを借りればいい。民間が所有すれば、税金を支払わなければいけないので、より有効な活用方法を考える。

・財務省には国有財産を管理するための職員が1000人以上いる。これは大不動産会社を営んでいるに等しい。

政府の失政によって膨大な借金をつくったのならば、まず自分たち自身からけじめをつけなければいけない。政府は「消費税増税」を言う前に、資産の売却や公務員の給与・ボーナスのカットなど、やるべきことがたくさんあるのだ。(格)

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