ASEAN加盟国の国旗。

《本記事のポイント》

  • 中国はASEANと友好ムードを演出しつつ、南シナ海の支配を強めている
  • 日米とも、中国に強硬姿勢を示せていない
  • 日米は、思想の力で中国包囲網を築くことが重要

東アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議が13日、フィリピンで始まった。ASEAN首脳会議に加え、アメリカ、中国、韓国、日本の首脳を交えたASEAN首脳会議も、それぞれ開催された。

ASEAN首脳会議の議長声明案には、北朝鮮について「核・化学兵器、弾道ミサイルを含む大量破壊兵器の開発の進展」に「深刻な懸念を表明する」と記された(13日時点)。

また、中国が南シナ海で軍事拠点化を進めていることについては、声明に項目があるだけで、記述は空白となっている(14日付読売新聞)。このままいけば、南シナ海問題への懸念は盛り込まれないと見られる。

ASEANと友好ムードをつくりつつ、軍事拠点化を進める中国

中国とASEAN首脳らの会議では、李克強首相が「よき隣人、友人となれるよう、我々はASEANと協力する」「行動規範を早急に完成させ、南シナ海の平和の安定装置にしたい」と主張。「航行の自由」などを目標に掲げた南シナ海での「行動規範」の条文づくりを始めることで合意した。

このように中国は、ASEAN諸国との友好ムードをアピールしつつ、「行動規範づくり」を主導している。

フィリピンのドゥテルテ大統領も12日、ASEAN会合で「南シナ海問題には今は触れないほうがいい」と発言。中国と対立してきたベトナムからも、中国批判が減った。ASEAN諸国は、中国から巨額の経済支援を受け、中国に次第に取り込まれつつある。その裏で、中国は着々と、南シナ海の軍事拠点化を進めている。

中国に強硬姿勢を取りきれない日米

一方、トランプ米大統領はASEAN首脳との会議で、中国を念頭に、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の大切さを何度も訴えた。また「地域の諸国が強く、独立し、繁栄し、誰の衛星国ともならないことを望む」と主張。だが、中国に対する強硬姿勢は強く打ち出せずに終わった。

安倍晋三首相も、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げて中国をけん制しつつも、「必要以上に刺激したくない」というスタンスを維持している。

中国は「2100年までの国家戦略」の下、世界覇権の獲得を目指している。このままいけば、遅かれ早かれ、南シナ海は中国の支配下に置かれてしまうだろう。そうなれば、中国政府の意向に反することはしづらくなり、各国は自由を奪われる。

そんな恐ろしい未来を防ぐため、中国に対し、どう対峙していけばよいのか。大川隆法・幸福の科学総裁は『秦の始皇帝の霊言 2100中国・世界帝国への戦略』の中で、こう指摘している。

『思想家を甘く見てはいけない』と思います。その影響は、最初は小さくても、だんだんと大きくなっていくものなのです。『日本の国家権力』が中国に挑戦するのは、そんなに簡単なことではないとは思いますが、『日本発の思想』が中国を変える可能性は大いにあると考えています

つまり、自由や民主主義といった価値観や、神への信仰の大切さを中国に広めることで、中国共産党が崩壊する可能性があるということだ。日米が協力し、ASEAN諸国、香港、台湾、そして中国の人々に対し、こうした普遍的な価値観を説き続けることが、極めて重要といえる。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『秦の始皇帝の霊言 2100 中国・世界帝国への戦略』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1933

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