(画像は Wikimedia Commons より)

衆院選に向け、議員たちが"生き残り"に必死だ。

民進党は、小池百合子都知事が立ち上げた「希望の党」に事実上合流した。民進党は新しい"看板"が、希望の党は選挙資金がほしかったため、この合流はお互いにメリットがあったのだろう。

ここで問題になるのは、民進党から希望の党に流れるとされる140~150億ともいわれる資金の出所である。そのほとんどは、民進党に交付された政党交付金だ。

民進党は今年、87億円以上の政党交付金を受けており、過去交付された分も選挙に向けて蓄えてきた。もし解党してしまったら、交付金は返さなくてはいけない。そのため、前原誠司代表は民進党に残留し、民進党を「存続」させる形を取った。

だが、このような交付金の使い方には、違和感がぬぐえない。

政党交付金は、政党所属の国会議員の数と、国政選挙の得票数に応じて決められる。

すなわち、選挙で示された民意に応じて、国民の税金を受け取っている。

民進党の政策の是非はここでは論じないが、多様な政策を訴える政党があり、それを支持する国民がいることは民主主義国家として健全な姿だ。民進党は自党や公認候補に投票してくれた有権者の民意に応え、選挙で主張した政策を確実に遂行する責任があるはずだ。

前原代表の行為は民進党への背任

まず、心ある民進党議員が声を上げ、党を事実上解党させた前原代表を「背任罪」で訴えてもいいのではないか。

報道等では、民進党の両院議員総会において、希望の党への合流が満場一致で了承されたことになっている。だが、希望の党の小池代表は、民進党議員全員に公認は出さないとの意向だ。この点は、前原氏との会談の段階ですでに伝えられていたと考えられる。

今のところ、民進党に出されている政党交付金は、所属議員に配られ、結果として希望の党に流れると思われる。前原代表はある意味、民進党の議員を騙し、党の財産に損害を与えている。

背任罪までいかずとも、民進党の規約には、「党の綱領、規約等に反し、本党の運営に著しい悪影響を及ぼす場合」には、常任幹事会が「党員資格停止、離党勧告、除籍」の処分を決定するとある。

代表だからといって、事実上の"独断"で解党する権利はない。今回の前原氏の行動は、除籍処分に相当するとも言えるだろう。

心ある民進党議員は前原代表を追い出し、同党所属議員のために政党交付金を使うのが、真っ当なあり方といえる。

何らかの訴訟で資金流出を止める

または、政党交付金の使い道について何らかの訴訟を起こす道もあるだろう。

現行法では、いったん受け取った交付金は、公表さえすれば使い道に制限はない。内部でどのように分けようとも、政党から政党へ寄付の形でお金を流すことも可能だ。

とはいえ、政党交付金の原資は、0歳から高齢者まで、1人あたり250円と定められた国民の税金である。政党助成法の成立に際しては、税金で政党の活動を応援したほうが、特定の企業や団体からの献金に頼るより、純粋に政治活動ができるという意図があった。だが、現在の民進党の動きは、自分たちが議員として生き残るために税金を使おうとするもので、立法趣旨に反している。

民進党に投票した有権者は、大半の政策において真逆の主張をする政党を支えるために税金が使われることに納得がいかないだろう。「希望の党にお金が流れるなら、政党交付金の悪用ではないか」「事実上の解党をするなら、政党交付金を返すべき」と主張してもよい。

この点、政党交付金が事実上他党に流れることを止めるために、心ある民進党関係者が、何らかの訴訟を検討してもよいだろう。

選挙資金の多寡は、選挙結果に少なからぬ影響を及ぼす。選挙の結果が出てからでは遅いので、仮処分申請を検討する余地もありうるといえる。

希望の党という、国民の審判を経ていない党に、事実上、政党交付金が流れていくことについて、多くの有権者は疑問を持っている。

安保法制に反対の立場を取り、民進党を応援していた支持者や法律家たちは、真逆の主張を掲げる政党を利する形で税金が使われないよう、行動を起こしてもいいのではないか。

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