2017年11月号記事

第62回

釈量子の志士奮迅

幸福実現党党首

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

「盲目の人権活動家」が教えてくれた
勇断できる政治

陳光誠さん(左)と、妻・袁偉静さん(右)に挟まれて談笑する釈党首。

「中国共産党は無神論だから、暴力と嘘しか信じない。道徳的な悔悟など一切ない」

こう激しく言い切ったのは、8月にアメリカでお会いした、「盲目の人権活動家」「裸足の弁護士」として世界に知られる、中国人の陳光誠氏でした。

陳氏は、農村部で共産党の圧政に苦しむ人々のために人権活動に邁進していたことから、中国当局により逮捕。4年間服役し、その後も自宅軟禁で全ての自由を奪われました。2012年に自宅から奇跡の脱出を遂げ、現在は、アメリカで中国民主化に向けた啓蒙活動に励んでいます。

お会いすると驚くほど優しい方で、その奥に悪に屈しない力強さを感じました。

陳氏が戦った「一人っ子政策」の実態は悪魔の所業としか思えないものです。当局は妊娠した女性を拉致し、子宮収縮薬を注射して堕胎させ、その家族を拘留・拷問するなどして取り締まります。無事に生まれた新生児をも、窒息死させる残酷さ。それを見せられた母親が自殺したケースもあったと言います。

陳氏が、そんな残虐なシステムの根源にあるものとして、「無神論」を挙げた時、互いに通じ合う公憤と志を感じました。さらに、陳氏が「神は存在すると思っている」「いかに強大な独裁政治も、大宇宙の理法には抗えない」と力強く語る姿は、三重苦の中で人類に勇気を与えたヘレン・ケラーと重なりました。信仰こそ、独裁国と戦う力になっていたのです。

人権擁護に"冷たい"日本

陳氏からは同時に、日本への大きな期待の言葉も頂きました。礼儀正しく、経済的に豊かなアジア最大の民主主義国として、中国での人権擁護や民主化の推進にもっと貢献してほしいと強く要望されました。

ただ一方で、日本における人権擁護への関心は非常に薄いというのが現状です。

アメリカでは、国務省が毎年、各国の人権擁護状況を発表し、陳氏のような民主活動家の保護も行います。米中首脳会談では、「内政干渉」だと反発されても、人権問題に触れようとします。議会は、党派を問わず、中国に対して厳しい目を向けています。

それに比べると日本は、事務レベルの「人権対話」を行うにとどまっており、ほとんどの政治家は、隣国の人権弾圧に口をつぐんでいます。むしろ、「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」などの嘘の人権弾圧をでっち上げられるという情けない状況です。

日本国憲法では、「個人の尊厳」が最高の価値と位置付けられていると言われていながら、なぜ隣国の人権弾圧には無関心を貫けるのでしょうか。国内の人権問題には敏感な政治家やメディアが、なぜ中国や北朝鮮の問題となると沈黙するのでしょうか。

アメリカが他国の人権問題に積極的に関わろうとするのは、自国民に限らず、全ての人に普遍的な人権が天から与えられているという意識があるためです。

日本が他国の独裁・人権弾圧に対して弱腰なのは、人権の奥にあるべき宗教観が欠如しているからなのです。

だからこそ幸福実現党は独自の憲法試案において、「神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め」とその前文で掲げています。

「国防」から逃げない勇気を

こうした本質的な議論ができないことが、日本の政治に哲学と国家戦略が立たない根本的な理由ではないでしょうか。

この原稿を書いている最中、安倍晋三首相が衆議院を解散する方向で調整しているというニュースが入ってきました。

しかし国防体制については、改憲論を「加憲論」に後退させ、韓国も検討を始める核装備については議論さえ否定しています。そもそも自民党は、選挙の度に「国防」「憲法」という争点から逃げ、まさに今、ミサイル防衛は後手に回っています。

幸福実現党は、宗教政党です。だからこそ、独裁国家が軍事拡張し、未来の日本人が人権弾圧の憂き目に遭うかもしれない中、「選挙受け」のために、国防の議論を後回しにする政治を、見過ごすわけにはいけません。

今、日本は国の安全を、アメリカに依存する危険性を、肌で感じています。「自分の国は、自分で守る」体制をつくるために、核装備やミサイル防衛の強化、憲法9条の「加憲」ではない抜本的な見直しなど、本質的な議論に踏み込む時です。

今こそ日本に、勇断できる政治を取り戻そうではありませんか。