《本記事のポイント》

  • 安倍首相は国連で「対話ではなく、圧力を」と訴えた。
  • 一方、国内の政治はウソやごまかしだらけ。
  • 次の衆院選では、「国防の哲学」を持った政党を選ぶべき。

安倍晋三首相は米ニューヨークの国連総会で20日、一般討論演説を行った。「論点をただ一点、北朝鮮に関して集中せざるを得ない」と、その内容のほとんどが北朝鮮問題に費やされた。

安倍首相は、「『すべての選択肢はテーブルの上にある』とする米国の立場を一貫して支持する」と語った。また「対話とは、北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった。(中略)対話による問題解決の試みは無に帰した。(中略)必要なのは対話ではない。圧力だ」と断じた。

トランプ大統領の「(脅威が迫れば)北朝鮮を完全に破壊する以外に選択はない」という演説も踏まえると、安倍首相はアメリカの軍事行動も支持することを示唆している。実際、アメリカは、北朝鮮への軍事行動について国連常任理事国5カ国から承認を取りつけており、北朝鮮の包囲網は完成したという説もある。

「戦後政治」はもう終わらせたい

だが威勢のよい国連演説とは裏腹に、国内における自民党の政治には打算が蔓延している。

安倍首相が10月に総選挙を決めるのは、民進党が混迷し、小池新党も立ち上げ準備が間に合わないのを見越してのこと。しかし、北朝鮮は、選挙期間を「最も攻撃しやすい時期」として狙ってくる可能性も高い。

また、自民党が20日に明らかにした衆院選の公約骨子案によると、重要政策は「アベノミクス推進」「人づくり革命」「働き方改革」「北朝鮮対応」「憲法改正」の5項目。

北朝鮮対応では、「最大限の圧力」をかけるとするものの、憲法改正については、自衛隊の存在を明記するのみ。争点のメインとして強調するのは、2019年秋の10%への消費増税による財源を、教育無償化などに充て、「全世代型」の社会保障を実現するということだ。これは、民進党の支持者をも取り込もうという魂胆だろう。

北朝鮮や憲法改正を強調しない自民党は、「北朝鮮問題、憲法9条の改正を選挙の争点として戦えば、負ける」と思って保身に走っているだけだ。このような腑抜けの姿勢では、日本を守ることはできないだろう。

「自分の国は、自分で守る」という姿勢

今、日本に求められるのは、「国防のための哲学」を持った政治だ。

長年、北朝鮮の脅威から目を背けてきた自民党には、それがない。「国防のための哲学」を持っているのは、2009年の立党以来、国防強化を訴え続けてきた幸福実現党だけなのだ。

釈量子党首は、本誌11月号(9月30日発売)の「釈量子の志士奮迅」の中で、次のように指摘している。

「幸福実現党は、宗教政党です。だからこそ、独裁国家が軍事拡張し、未来の日本人が人権弾圧の憂き目に遭うかもしれない中、『選挙受け』のために、国防の議論を後回しにする政治を、見過ごすわけにはいけません。今、日本は国の安全を、アメリカに依存する危険性を、肌で感じています。『自分の国は、自分で守る』体制をつくるために、核装備やミサイル防衛の強化、憲法9条の『加憲』ではない抜本的な見直しなど、本質的な議論に踏み込む時です」

10月の衆院選では、同党の飛躍を期待したい。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『自分の国は自分で守れ』 大川隆法著

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