オーストラリアのメルボルンにあるチャイナタウン。(OPIS Zagreb / Shutterstock.com)

《本記事のポイント》

  • オーストラリアには、「中国の村」になりつつあるところがたくさんある。
  • オーストラリアの人は潜在的に、「中国の傘下に入りたい」と思っている?
  • 中国からの侵略を防ぐには、「未来世界をつくる」という志が必要。

北朝鮮は3日、水爆実験を行った。9日の建国記念日には、水爆を搭載できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行う可能性もあるとして、世界中の国々が恐怖を感じている。

ただ、日本やアジア・オセアニア諸国にとっての安全保障上の脅威は、北朝鮮だけではない。その背後で糸を操る中国も、大きな脅威だ。

「オーストラリアには、中国人がたくさんいます。最近、特に数が増えていて、シドニーから車で30分ほど行くと、村や町全てが中国人であふれる、"中国人の村"になっているところが多くあります」

オーストラリア在住の後藤美恵子さんはそう語る。オーストラリアには、中国系住民が約100万人おり、その3分の1が中国生まれだ。さらに、中国からの留学生は約14万人いるという。

「ただ、中国人がいなくなるとオーストラリアは困るのが、実際のところです。どの大学の経営も、中国からの留学生で成り立っていますし、中国人は不動産にも投資しています。ただ、"中国に全てを買われてしまう"という危機感もあります」(後藤さん)

「中国とは上手く付き合うべき」というセミナー

中国の覇権主義に危機感を感じている後藤さんは8月末、豪シドニー大学アメリカ研究センター長のベイツ・ギル氏と、豪ローウィ国際政策研究所東アジア部長のリンダ・ヤコブソンの著書『China Matters』の出版イベントに参加した。

2人は、オーストラリア政府にも強い影響力を持っており、中国の人権問題や共産党の一党独裁体制についても、よく理解している。だがセミナーの内容は、「中国の覇権主義は危ないと認識しながらも、マイナスの面とプラス面を見ながら、チャンスとして使うべきだ。チャレンジとチャンスの両方をバランス良く見ながら、中国を理解する努力をしていこう」というものだったという。

このように、オーストラリアでは「人口の多い中国は、なくてはならない"市場"であり、うまく付き合うべきだ」という考えが根強くある。オーストラリア政府も、中国の人権問題や、南シナ海での中国の活動に声明を発表するたびに、これまで3度も経済制裁にあたるような中国政府からの"罰″を受けてきたため、懲りているという。

しかもターンブル現首相は、ビジネスで成功した親中派。元ゴールドマン・サックス・オーストラリアの代表で、「いかに中国から金を引き出すか」という思考を持っている。ちなみにターンブル氏の息子は、中国共産党員の娘と結婚している。

後藤さんは「オーストラリアの政策に影響力のある人がこんな感じで、志がない。経済面で努力するのもいいですが、それは目先のこと。オーストラリアの人も、『中国の傘下に入りたい』と考えているようです」と残念がる。

必要なのは、「未来世界への大志」

後藤さんは、「オーストラリアは元々イギリスの囚人の流刑地で、イギリスの植民地支配から逃れたのも約100年前。マインド的に、植民地であることに慣れているのかもしれません」と語る。

だがオーストラリアの人々は、もっと高い志を持つ必要があるだろう。大川隆法・幸福の科学総裁は2012年10月、オーストラリアで「Aspirations for the Future World(未来世界への大志)」という説法を行い、次のように述べている。

オーストラリアは、まだまだ十分でないと感じます。というのも、皆さんには未来社会や未来世界に対する、十分な大志がないからです。皆さんは、未来社会や未来世界、未来の地球に対して、もっと責任を持たなければなりません。それについて、十分に考えていないのです。しかし、この300年のうちに、世界のトップ・ランナーになるでしょう。次の文明は、この地から生まれなければならないのです。ですから私は、新しい文明の種を播きたいのです。それはまず、志から始まります

オーストラリアだけでなく、日本を含めたアジア各国は、中国市場という経済面だけでなく、人権弾圧を続ける共産党の本質に目を向ける必要がある。そのために必要なのは、まさに「未来世界に向けた大志」だ。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『中国民主化運動の旗手 劉暁波の霊言』 大川隆法著

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