3月号の米誌アトランティックが、都市の高層化の利点について特集している。記事はニューヨーク等の都市化の歴史や、シンガポールでは摩天楼をつなぐ連絡橋で移動が容易になっていることなど、世界の都市で進む高層化の利点について触れ、高層化が都市発展と経済成長のソリューションになることを示している。ビルの高層化による空間の有効活用によって住宅価格は下がり、多くの人が都心にマイホームを持てるようになる。通勤時間や交通事故は減り、多くの人が集まることで都市は活性化され、人と人との結びつきも強まる。よって、できる限り建蔽率などの規制を緩和し、都市の高層化を進めるべきだ――というのが論旨である。

本誌が繰り返し論じてきたように、東京など大都市の更なる高層化によって廉価での住宅供給が可能になれば、少子化問題への処方箋にもなるし、職住近接の実現は時間・空間効率の向上によって、都市の利便性や成長力を高めることにもつながる。

菅首相もかつて「東京200万都市構想」なるものを自著に記したことがあったように、都市人口の分散という発想は時折論じられることがある。それは都市のキャパシティーが今のまま増えないという前提に立った論理だが、都市の高層化とそれに伴う適切なインフラの整備によって「文明の枠組み」は広げることができる。都市部の地価が高いのはそれだけ需要があるためであり、それを削ごうとするのではなく、その需要に見合う供給をいかに増やして多くの人の暮らしを便利にできるかという考え方の方が、より発展につながる発想である。

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「【日本を創ろう】(1) 人口は増やせる!」

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