中国の台頭とアメリカの衰退がセットにして語られることが増えているが、ハーバード大学教授で知日派の筆頭としても知られるジョセフ・ナイ氏が、14日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で、アメリカの衰退を誇大にとらえずに、将来の展望を持って、できる改革に集中すべきだと論じている。
中国台頭論はえてして経済成長率しか見ておらず、アメリカの軍事力やソフト・パワー、近隣諸国との友好関係といった優位点を見逃しているとナイ氏は指摘。ソ連も日本もアメリカを抜くことができなかったように、中国もアメリカを抜くかどうかなどわからない。アメリカ自身は累積負債や初等教育などの問題を抱えるが、解決策は存在するのであって、テロなどに怯えて内向きになるあまり、オープンであることの利点を失ってはならないと論じている。
アメリカ衰退が運命論的に語られることへの警鐘である。ナイ氏の指摘のとおり、中国の台頭を恐れるあまり、内向きになって活力を失い、生かすべき機会を生かせなくなるのではいけない。これはそのまま日本にも当てはまる。中国のGDPが年間ベースで日本を上回ったわけであるが、一人当たりの収入といった国民の豊かさのレベルや技術力など、日本は多く点で優位であり、依然として日本は成長可能であることを認識すべきである。衰退のシナリオを描くことにばかりエネルギーを弄することなく、自らの強みを最大限に発揮し、繁栄の道を堂々と行くべきである。
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