Hamdan / PIXTA(ピクスタ)

2017年8月号記事

神奈川から始まる
一生暮らしたい街のつくり方

「生涯現役」「地域交通」革命

高齢化や不況といった日本の課題解決には、新しい都市のビジョンが必要だ。
そんな街のつくり方を、神奈川をモデルに考えた。

(編集部 小林真由美)

神奈川県には、どこか開放的なイメージがある。

幕末期に日本の玄関口として栄えた横浜は、外国の文化や技術などをいち早く採り入れて発展した。そんな歴史的経緯もあり、神奈川県民は新しいものを柔軟に採り入れる気質がある。

加えて神奈川には、発展につながる豊富な資源がある。

東京のベッドタウンとして発展したため、人口は東京に次いで2番目に多い。横浜や川崎などに代表される京浜工業地帯には、自動車などの重工業の工場が立ち並ぶ。さらに、横浜、川崎、横須賀の3つの港湾があり、横浜のコンテナ取扱量は東京に次ぐ第2位だ。

一方で、海や山などの大自然も豊かだ。湘南や三浦海岸は観光やレジャーで人気を集め、漁業や養殖も盛ん。内陸部では多様な農作物も採れる他、鎌倉や箱根など数々の名所もある。

新しいものを取り入れる気質と、豊かな資源。

長びく不況や高齢化で、明るい未来ビジョンが描きにくくなっている今の日本で、新しい都市モデルをつくるのに、これほど適した県はないだろう。

次ページからのポイント

「生涯現役」の先駆者たち

交通革命でもっと発展できる

経済評論家 増田悦佐氏インタビュー