《本記事のポイント》
- 都民約100人が、豊洲移転を求めるデモを実施
- 豊洲市場の建設費6000億円が無駄になりかねない
- 都議選を見据えたパフォーマンスをやめ、本当の都民ファーストを
小池百合子・東京都知事が8月末に豊洲市場の移転延期を宣言してから、約8カ月経過した。移転をめぐっては、世論の反応が分かれる中、東京都民約100人が27日に、「小池都政、無責任政治をやめようデモ」を行い、移転を求める声を上げた(主催は幸福実現党東京本部)。
デモに先立ち、幸福実現党の神武桜子副党首が挨拶。東京都へ住民監査請求が行われたことを踏まえ、「税金を無駄遣いしない都政を求める」と参加者へ呼びかけた。
参加者は、新宿中央公園から都庁周りを練り歩き、「小池知事は、1日も早く豊洲市場の安全宣言を出すべきだ」「首都東京から、有事に備える防災対策をするべきだ」などと、シュプレヒコールを上げた。
建設費6000億円はどこへ?
主催者である同党東京都本部の吉井利光代表はこう語る。
「豊洲市場の建設には約6000億円の税金がかかっているのに、移転しないことで、そのお金が無駄になっています。マスコミは、『豊洲は危ない』と報道していますが、実際は『築地の方が衛生上危険』です。税金を無駄にしないために、豊洲の"安全宣言"と、移転を知事に求めます」
吉井氏らは3月28日、東京都庁へ「豊洲移転を求める陳情書」を提出している。
豊洲市場が立地する江東区で活動する表奈就子氏は、「豊洲市場に関係している地元の方は、都から通達なしで、移転延期が宣言され、たいへん怒っていらっしゃいます。区民の方も、施設や一部道路が完成しているのに、延期するのはおかしいと言われます」と区民の不満を代弁した。
さらにデモでは、朝鮮半島の有事における防災訓練の実施を求める訴えも行われた。吉井氏は、緊迫化する北朝鮮情勢について触れ、「防災対策も全国的に不十分です。まず首都の東京が、率先して防災訓練を行うべきです。区議会にも防災訓練の実施を働きかけていきます」と語った。
デモに参加した50代女性は、「移転を延期することで、都民の税金が失われていくのは許せない。税金を正しく使ってほしい」と話した。
また70代女性は、「築地市場の老朽化と衛生環境を見たら、豊洲移転が正解と考える方が合理的です。過去の決定をひっくり返すのではなく、オリンピック・パラリンピックなど、未来へ向かって東京を発展させてほしい」と話した。
「都民ファースト」を掲げている小池知事だが、豊洲移転の延期をめぐる7月の都議選を見据えたパフォーマンスにより、都民の心が離れつつある。本当の「都民ファースト」を求める声に耳を傾けるべきだろう。
(HS政経塾 山本慈)
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