日曜大工や建築現場で、当然のように使われている「釘」。その構造はシンプルですが、その品質は建物の強度や安全性に直接かかわり、実は高度な技術が必要です。

日本では古来より、鉄を槌で叩いて造る「和釘」が使われていました。明治以降になると、西洋の建築技術の導入で、針金状の長い鋼材から作る「洋釘」の輸入が始まります。その洋釘の国内生産が実現した背景には、芙蓉グループの創始者である、安田善次郎の決意がありました。

今回は、「殖産興業」を掲げる明治期の日本で、日本経済の未来を見据えて行われた、釘の国産化の取り組みに注目します。