写真:毎日新聞社/アフロ Shutterstock
2017年6月号記事
小池さん、豊洲の他にないんですか? Part1
東京発 「渋滞ゼロ、花粉ゼロ」プラン
小池百合子・東京都知事が昨年8月に、突然延期を発表した豊洲市場の移転。
今年7月の都議選で争点になるが、都民も「政争の具にしたいだけ」と気づき始めているだろう。
本当に解決してもらいたい都政の課題を取り上げてみた。
(編集部 山本慧)
contents
テレビのワイドショーなどで、連日のように取り上げられてきた豊洲問題。「これ以外に都政の課題はないのか」「さっさと決めてほしい」と思う人も増えているだろう。
7月の東京都議選(定数127)では、豊洲市場への移転の可否が問われる。小池百合子・都知事は移転の是非を明言しない一方、共産党は反対し、自民党や幸福実現党は賛成を表明した(4月18日時点)。
6000億円を無駄遣い
地下の汚染物質に関する過剰報道で、「豊洲は危ない」と考える人もいるが、 冷静に事実を比べると、豊洲市場は築地市場よりも安全だ (下図)。
スカイツリー15基分に相当する約6000億円をかけてつくった豊洲市場を放棄し、他の施設に使うのは合理的ではない。
東京都は、移転しない間も1日当たり約500万円の維持費を使い、サラリーマンの平均年収を超える税金を無駄にしている。
さらに移転が中断したことで、築地市場の跡地を利用する東京オリンピックのメインストリート「環状2号線」の建設工事も進まなくなった。このままでは、オリンピックにもしわ寄せが及ぶ。
「豊洲は安全」にもかかわらず、「都民の安心」を強調する小池氏。 マスコミ受けはするが、明らかに経営感覚に欠けている。
移転してもジリ貧状態
豊洲市場への早期移転を行うべきだが、もっと大事なのは「移転後にどうするか」である。
実は、2002年から15年にかけて、築地市場の水産物の取扱量は、64万トンから44万トンへと30%以上も減っている。
理由は、非効率な運営による高いコストだ。日本の運用コストは世界平均の1・5倍も高いと言われている。スーパーなどが市場を介さない産地直送を増やしているのも、コストを減らすため。移転しても、取引量の減少傾向は続くと見られる。
IT化でコストを下げる
渋滞ゼロ:渋滞対策で5兆円を生む
花粉ゼロ:「現代の公害」を解決する方法