12日付けインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に、エジプト反政府デモ勢力の一部から支持を受けるエルバラダイ国際原子力機関前事務局長(68)が寄稿している。05年のノーベル平和賞受賞者でネット世代の若者の支持を集めている同氏だが、6日に行われた副大統領と野党勢力の対話には招かれず、存在感が薄れている。市民の前に姿を現すことが少ないという同氏の何が若者に受けているのかという興味も込めて、抜粋紹介する。
・ チュニジア革命がティッピング・ポイントとなり、「自分たちにもできる(Yes, we can)」という力強い心理的メッセージを発してくれた。米国やその同盟国はイラクやアフガニスタンに民主主義を打ち立てようと何千億ドルも費やして戦争をしてきたが、今やカイロの若者たちは、フェイスブックと信念の力だけを武器に、真の民主国家エジプトを求める何百万人もの人々を表通りに引き出している。
・ 生まれ変わったエジプト( The rebirth of Egypt )は新時代の希望を示している。その新時代には、アラブ社会、ムスリム文化、そして中東そのものが、もはや戦争や急進主義の色眼鏡で見られることはない。むしろ、科学と技術の進歩で近代化し、文化の多様性と普遍的価値による共通性で結びついた、人間性の行進(the forward march of humanity)に寄与する存在となるだろう。抑圧されてきた過去の時代の影以外に、何も恐れるものはない。
昨日の本欄で紹介したムスリム同胞団メンバーの寄稿に比べると、全体を通して「宗教」や「イスラム」という単語が一度も出てこないかわり、オバマ大統領の有名なフレーズ「Yes, we can」やキング牧師を思わせる「行進」など、世界的に有名な「自由」のイメージを繰り出している。こうしたトーンがネット世代に受けているのかもしれないが、現実政治の世界で同氏が影響力ある立場に着く見込みは今のところ薄い。(司)
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