《本記事のポイント》

  • ギングリッチ氏が北朝鮮の軍事行動で数百万人が亡くなる可能性を指摘
  • 日本の現在の防衛力には不安が
  • 専守防衛でかえって強大な軍事力が必要に

北朝鮮の韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官は、17日BBCのインタビューに応える中で、「アメリカが軍事的手段を活用するほど向こう見ずな態度に出れば、まさにその日から全面戦争(が始まること)を意味することになる」と警告した。

元下院議長のギングリッチ氏も数百万人の死傷者が出る可能性を指摘

一方、元下院議長のギングリッチ氏は、17日のFOXニュースのインタビューで、アメリカの軍事的行動によって、韓国、日本、中国で、それぞれに数百万人の人的被害が出ると指摘した。

さらにギングリッチ氏は、近い将来、次の3つのことが起きる可能性があるとして、こう述べた。

「北朝鮮は、中国からの圧力で核開発の一部を一時停止するか、軍事クーデターが起きて別のリーダーに置きかえられるか、私たちが核弾頭を搭載できるミサイル基地を破壊するなどの軍事的行為を開始するか、どれかになると思う」

「数百万」という数字が普通に出てくるアメリカのテレビ番組に驚く人もいるかもしれない。しかし、昨年1月、北朝鮮は、水爆実験に成功したと主張した。水爆は、原爆の数百倍、数千倍の威力があるとされている。水爆が日本に落とされれば、1千万から2、3千万の死傷者が出る。

原発がターゲットになり日本が屈服する可能性

そもそも、日本を攻撃するのに、北朝鮮は核ミサイルを使う必要はない。

2016年1月7日に、大川隆法・幸福の科学総裁が行った霊言で、金正恩の守護霊は、「日本海側の原発等は廃炉にしないと、わしが、いつミサイルを撃ち込むか分からんからなあ」と原発もターゲットであると示唆している(『北朝鮮・金正恩はなぜ「水爆実験」をしたのか』)。すでに実戦配備されているミサイルは300基もあると言われ、スカッドミサイル等で、原発を狙えば被害は甚大であり、2、3カ所を攻撃して成功すれば、日本を混乱に陥れ日本に厭戦ムードを盛り上げ、日本政府を屈服させることができる。

すでに東日本大震災での福島原発の事故により、電力供給システムや核燃料貯蔵プールなどが軍事的攻撃に脆弱であることが露呈している。現在のところ弾道ミサイル防衛システムのPAC-3が原発エリアには配備されていないことから、使用済み核燃料貯蔵プールが破壊された場合は、現場は死のエリアとなる。福島第一原発事故の惨事どころではない。

日本の事情に合わないミサイル防衛システム

そもそもミサイル防衛システム(MDシステム)は、アメリカで核弾頭が搭載された弾道ミサイルによる攻撃を撃破するために開発されたものだ。

しかし、核攻撃よりも弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃を受ける方がより現実的である日本の場合、ミサイル防衛システムは、複数のミサイルを同時に打ち込まれた場合(飽和攻撃)、対応できるような体制ではない。要するに、「ミサイルを複数撃つぞ」と恫喝されたら、屈服するしかなくなる。

敵基地攻撃でどれだけ防げるか?

自民党安全保障調査会は、「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」を発足させ、3月30日に安倍晋三首相に提言を提出し、レールガン等の新装備の導入のほか、敵基地攻撃能力の保有などの検討の必要性を訴えている。

だが、敵基地攻撃能力を保有するには、さまざまなハードルがある。例えば、常時移動式弾道ミサイル発射装置(TEL)の所在をタイムリーに把握しなければならない。しかし、日本には常時監視できる偵察衛星はない。また、北朝鮮は注入に時間のかかる液体燃料ではなく、固体燃料を使用し始めており、TELが発射地点に到着して15分とたたないうちに、ミサイルの発射が可能となる。敵基地攻撃能力を持つことは大事だが、あらゆる攻撃を防げるわけではないことも忘れてはならない。

専守防衛に必要な防衛力とは?

また、敵基地攻撃能力を持つまでは、一定の時間を要する。同時並行で、レールガン、高出力レーザー等の受動的抑止力のほか、核装備と長距離巡航ミサイル(トマホーク)の配備などを進めなければならない。ミサイル防衛システムが1兆円かかるのに対して、トマホークの配備にかかるのは1基1億程度だ。

報復的攻撃は、敵基地だけでなく、指示命令ラインの出る指導者宅など幅広い目標に対して行われる。そうした報復攻撃力を持つことで、ミサイル攻撃を思いとどまる可能性が高くなる。

日本は、憲法9条2項で交戦権を否定し、「専守防衛」を旨として守ってきた。しかし、専守防衛を字義通りに理解をすれば、「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使する」というもの。それは戦前の沖縄の本土上陸と同じように、本土が主戦場となり、国民に多大な犠牲を強いるものだ。

だが、「座して自滅を待つのは、憲法の趣旨ではない」(1956年鳩山一郎首相答弁)。生命、安全、財産を守るという自然権は人間に与えられた当然の権利だからである。とするならば、「専守防衛」を貫くことはかえって核装備や巡航ミサイルの装備を兼ねた強大な防衛力の担保が必要であることに気づくべきである。

(長華子)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『世界を導く日本の正義』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『北朝鮮・金正恩はなぜ「水爆実験」をしたのか』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1612

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