このほど掲載された日経新聞のコラム「大機小機」は、トランプ政権の貿易政策を痛烈に批判しました。

コラムは、「トランプ政権の多国間主義を否定して貿易赤字を減らす手法は、グローバル経済の相互依存を無視した時代遅れの発想で、経済学の基本原理から大きく外れる。フリードマンなどの大経済学者がいたら、トランプ政権を真っ向から批判しただろう」との趣旨を述べた上で、「反経済学のトランプ政権は、民主主義と資本主義を危機にさらしている。経済学者よ、たちあがれ」と主張しています。

しかし、グローバル企業の海外移転によって、自国の中流階級が没落していくのを目にしても、自由貿易をイデオロギー化して、企業利益の最大化を後押ししてきたのが、近年の自由主義的な経済学ではなかったでしょうか。

トランプ政権が本当に「反経済学」なのかを理解するには、「企業家は自己利益の最大化を目指すものだ」という主張を正当化するのによく使われる、経済学の祖、アダム・スミスにさかのぼって考えなければなりません。