《本記事のポイント》

  • 行き過ぎた市場介入は共産主義につながる
  • 働き方改革と不気味な言論空間
  • 企業の自由を広げる規制緩和の考え方も入れるべき

安倍政権の進める「働き方改革」に関する解説記事が、読売新聞に掲載された。

政府が設置する「働き方改革実現会議」では、残業時間上限の制定や、違反企業への罰則が検討されている。17日には、例外的に認められていた残業時間の上限規制を「月100時間未満」にすることが正式に決定された。長時間労働の是正のほか、「同一労働同一賃金」も進め、正規雇用と非正規雇用の“格差”もなくそうとしている。

これについて読売新聞は、「長時間労働の是正は不可欠」とし、改革が必要な理由を説明しながら、政権の政策を肯定的に評価した。

政府の行き過ぎた介入

安倍政権は、第3の矢で規制緩和を掲げている。しかし、労働規制に関する規制は緩和されず、「規制強化」に傾斜している面は否めない。

政府が企業の労働時間や賃金などの決定に口を出すことは、本来、資本主義社会では差し控えられるべきもの。介入は、「結果平等」を求める共産主義の思想につながりかねないからである。

賃金の引き上げについて、大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『危機に立つ日本』のなかで次のように述べている。

「(最低賃金の引き上げのような) そういう底上げをすることは、非常に優しくて、良いことのように思うかもしれませんが、賃金が上がれば、企業は人を採用しなくなるだけのことです。企業に雇用を義務付けることなどできません。賃金が高ければ人を雇わなくなるので、失業者は減らないでしょう

実際に、一橋大学大学院准教授の川口大司氏(現・東京大学教授)は、最低賃金の引き上げは、最低賃金で働いている労働者の雇用に対して負の効果がある主張している。現在、さまざまな業界で人手不足が指摘されているが、安倍政権がそれを後押ししている可能性すらあるわけだ。

働き方改革と不気味な言論空間

働き方改革については「一億総賛成」の感が強く、批判がほとんどないことに、ある種の「不気味さ」も漂う。マスコミは、こうした異様な言論空間に警鐘を鳴らすべきではないか。

行き過ぎた市場への介入は、長期的には経済の衰退につながる働き方改革の中には、企業の自由を広げる規制緩和の考え方を入れるべきだ。(亮)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『危機に立つ日本』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=96

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