《本記事のポイント》

  • 米ジョージア州で慰安婦像設置の計画が中止に
  • 誤ったメッセージを発信する慰安婦像
  • 憎しみによって真の友好関係は生まれない

アメリカ南部・ジョージア州アトランタにある、公民権・人権センター「Center for Civil and Human Rights」の敷地内に慰安婦像を設置する計画が進められていたが、同センターが設置の中止を公式に発表した。

慰安婦像の設置を進めていた韓国系米国人らは2月9日、アトランタ市内で4月に像を設置するとして記者会見をしていた。会見には、2007年に米下院で可決した、慰安婦問題をめぐって日本を非難する決議を主導した元日系議員、マイク・ホンダ氏も同席したという。1カ月後の設置を目前にしての中止判断は、慰安婦像設置に反対する日本人らの働きかけによるものが大きいと報じられている。

現地メディア、「ジョージア・アジアン・タイムズ(Georgia Asian Times)」のWEBページには、人権団体のリーダーを務めるという男性からの、慰安婦像設置の中止を求めるメール内容が掲載されている。

メールの内容は、「慰安婦像は日本軍による慰安婦の強制徴収があったということを主張するものだが、事実誤認であることに加え、いたずらに日本人の名誉を貶めるものであるがゆえに、慰安婦像の設置は控えるべきである」という趣旨だ。こうしたメールの他にも、現地の日本人や領事館による働きかけがあったという。

キング牧師を生んだ地、アトランタ

ここアトランタは、マーティン・ルーサー・キングJr.が生まれ、活動した土地だ。同地にはキング牧師の功績をたたえるセンターや、キング牧師の生家をめぐるツアーなどもある。

この公民権・人権センターにも、キング牧師が公民権運動を繰り広げていた当時の人種差別の様子がわかる写真などが展示されている。筆者もジョージア州に1年ほど滞在したことがあるが、こうした公的な施設に慰安婦像が設置された場合の影響力は甚大だと感じる。もし、このセンターに慰安婦像が設置されれば、慰安婦問題が「歴史的事実」として、人種差別と同列に刻印されかねないところだった。

「性奴隷」の嘘

日本軍が朝鮮人女性20万人を誘拐し、性奴隷にしていたというのは全くの事実誤認である。第二次大戦中、日本兵士が戦地で慰安婦を利用していたのは事実だ。戦地でお金をもらって奉仕する「慰安婦」という存在は、どの時代にもどの国にもいた。

だが、女性を集めたのは民間の業者であり、むしろ当時日本政府は、悪質な業者を取り締まる通達を出すなどしていた。加えて、戦時中の1944年に米軍の諜報機関だった戦争情報局(OWI)が作成したレポートによれば、現地の韓国人慰安婦は、日本軍の大将以上の給料を得、客に対しても断る権利を有していたという。

つまり、「慰安婦」は、韓国政府が主張するような「日本軍が誘拐して強制的に性奴隷にした」というものではなく、「単に志願した」か、あるいは「不本意ながら業者に売られて売春婦になった」というのが事実だ。

「憎しみを超えて愛を取る」ことを説いたキング牧師

韓国は「日本軍の責任」を糾弾する形で、幾度も賠償金を要求しているが、国家間の友好関係を築く上で建設的なやり方とは言えないだろう。日本はいわれのない「濡れ衣」を背負い続ける必要などない。日本の名誉のためにも、このような誤解は早々に解くべきだ。

過去、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は日本に対して「加害者と被害者という立場は、千年過ぎても変わらない」と発言した。千年憎しみ続け、被害者意識を持ち続けることにより、幸せになる人がどれだけいるのだろうか。

アトランタが生んだ聖人、キング牧師は、差別に対して憎しみで応えるのではなく、愛でもって乗り越えていくことを訴え続けた。キング牧師の遺した言葉は、今なお強いメッセージを持つ。

Darkness cannot drive out darkness; only light can do that. Hate cannot drive out hate; only love can do that.

(闇は、闇で追い払うことはできない。光だけがそれを可能にする。憎しみは憎しみで追い払うことはできない。愛だけがそれを可能にする)

今後、真の意味で日韓の友好関係を築くためには、キング牧師が命を懸けて発信し続けた「許しの力」をこそ学ぶ必要がある。

(片岡眞有子)

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