《本記事のポイント》

  • 文科省のOB20人が、退職翌日に大学教員に再就職。
  • 文科省は許認可権を盾にして大学と癒着か。
  • 「学問の自由」を保障できるよう、教育行政の変革が必要。

天下り規制が強化された2009年1月から、16年4月末までに大学の教員として再就職した文部科学省のOBが、合計40人おり、うち半数の20人は退職翌日の就任だったことが16日判明した。17日付各紙が報じた。

国家公務員法は、利害関係先への在職中の求職活動や、省庁による斡旋を禁じている。短期間での再就職は違法性が疑われるため、現在、文科省調査班が経緯を検証している。

この調査班は事案の全容解明に向けて1月に設置されたものだ。

大学を「私物化」する文科省権力

「天下り問題」が露呈する発端となった、元高等教育局長・吉田大輔氏による早稲田大学への再就職問題を見てみると、文科省と大学の「癒着関係」が分かる。元高等教育局長は在職中、早稲田大学に人事課を通して求職し、退職後2カ月あまりで再就職していた。

文科省は大学に補助金を交付したり、学部・学科の新設を認可したりする権限を持つ。大学側としては、文科省の天下りを受け入れれば、運営資金を得やすくなったり、学部や学科の新設がスムーズになる可能性が高くなるなど、"メリット"が大きい。

補助金の交付にしろ、新設認可にしろ、文科省が大学の行動を「許認可」するシステムが組織的な天下りがなくならない理由だろう。

実際に大学関係者の声もメディアで報じられているが、「文科省の指示は断れない」とするものが多い。また、あっせん問題の発覚を受け、1月20日に開かれた早稲田大学の記者会見で、鎌田薫総長は「文科省関係者を全部お断りと言い切る自信はない」と述べた。

「学問の自由」を守るために

本来、大学とは、学生や研究者が自由に真理を探究できる場所であるべきだ。文科省の役人が、「許認可」を盾として天下りを行い、利得を得ようとするなら、学問の自由は死んでしまう。

教育行政の変革が急がれる。

(片岡眞有子)

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