「人間というものは、無意識のうちに何かを信仰したがるものであって、信仰心は、人間のもって生まれた本能的な働きではないかと思うのであります」

売上高7兆5000億円、従業員数25万人を誇る日本を代表する総合電機メーカーの「パナソニック」。経営の神様と称される創業者の松下幸之助は、冒頭の言葉でもって、信仰心の大切さを説いている(『松下幸之助の哲学』所収)。

今も松下が残した語録は、経営者の帝王学として広く読まれている。多くの経営者は、「水道哲学」(品質が良くて安い製品を水道の水のように豊富に供給する、の意)などの経営哲学を知り尽くそうと、何度も本を読み返していることだろう。

本欄では、松下が生み出した有名な経営哲学ではなく、あまり触れられることがない「松下の宗教遍歴」に注目したい。