Action Sports Photography / Shutterstock.com

《本記事のポイント》

  • トランプ次期大統領が、当選後初めての記者会見を行った
  • トランプ氏は、「最も雇用を生み出す大統領になる」と主張した
  • 雇用を守るために高い関税をかける方針は、単なる保護主義とはいえない

トランプ次期米大統領は11日(日本時間12日)、ニューヨークのトランプタワーで記者会見を行った。これまでトランプ氏はツイッターで約300回情報を発信してきたが、記者会見は昨年11月の大統領選勝利後、初めてとなる。

メディアの偏った報道に憤るトランプ

トランプ氏は記者会見の冒頭、長く記者会見を開いてこなかったことについて、「あまり正確でないニュースが出ていたので会見をやめていた。いくつかの報道機関は私をきちんと扱わなかった」と述べた。

また、CNNなどの主要メディアが「ロシアの情報機関がトランプ氏の弱みを握るために、不名誉な個人情報をつかんでいる疑いがある」と伝えたことについて、「それは偽のニュースだ。そんなことはなかった。私たちの敵対勢力からの情報だ」と憤り、CNNの記者の質問を受け付けなかった。

「私は最大の雇用創出者となる」

トランプ氏は、米大手自動車メーカーのフォードがメキシコに工場を移転する計画を撤回したことなどを評価し、「史上最も雇用を生み出す大統領になる」と述べた。また、貿易不均衡の是正や国内の雇用確保に全力を挙げ、アメリカの利益を最優先に確保していく姿勢を強調した。

トランプ氏はこのほかにも、「オバマケアの早期撤廃」、「中国、日本、メキシコなどとの貿易の不均衡を是正」、「メキシコとの間に壁を建設する計画」、「ロシアとの協力体制の強化」などについて触れた。これらはすべて、トランプ氏が選挙期間中から主張していた政策だ。当選後、トーンはやや落ち着いたものの、全体的な方向性としては一貫している。

愛国心をもって自国を富ます

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『繁栄への決断』の中で、トランプ氏の雇用創出政策について、以下のように評価している。

『米国の企業は、あっさりと海外展開するのではなく、戻ってこい。海外で安くつくったものだから、アメリカで安売りできると思うなら大間違いだ。それを輸入するときに関税をかけてやる。海外に行ったら、三十五パーセントかけるぞ。一方、国内でつくるのは、国に奉仕しているから構わない』というようなことで、今、具体的に目に見えるかたちでの雇用をつくろうとしているわけです。

これは、経済面における「トランプ革命」の一つであると言えます。ただ、これが成功するかどうかについては、現時点では、多くの識者たちにはまったく分からない状態にあるでしょうが、私は、『実験する価値は十分にある』と思っています

アメリカ国内の雇用を守るために、海外からの輸入品に高い関税をかけるというトランプ氏の政策は、「自国優先の保護貿易主義」と批判されることもある。しかしトランプ氏は、グローバル化の流れの中で、アメリカに税金を納めず、海外に富を流出させる米企業に対し、「まずは愛国心を持って自国を富ますことが大切だ」と訴えているのではないだろうか。実際、トランプ氏は、国内の企業活動を活性化させるために、法人税の大幅な減税などを打ち出している。

トランプ氏は、多くの政治家たちが必要性を感じていても、批判を恐れて実施できなかった政策を打ち出している。日本も、「トランプ革命」で変化するアメリカの行方を注視することで、豊かで強い国をつくる方法を学べるのではないか。

(小林真由美)

【関連記事】

2017年1月11日付本欄 トランプ氏はオバマ氏の政策を180度転換? 両大統領の思想を分けるもの

http://the-liberty.com/article.php?item_id=12445

2016年11月2日付本欄 トランプ人気はポピュリズムなのか? EU離脱との比較で読み解く

http://the-liberty.com/article.php?item_id=12156

2016年10月21日付本欄 アメリカの言論の自由が危ない? トランプが米主流メディアの偏向報道を批判する理由

http://the-liberty.com/article.php?item_id=12077