政府は5日、社会保障改革に関する集中検討会議(議長・菅首相)の初会合を開き、いわゆる「社会保障と税の一体改革」について、4月に社会保障改革の基本方針、6月に税制などを含む一体改革案などを、それぞれ取りまとめる方針を決めた。

6日付け読売新聞は1面トップも社説もこの話題。1面では、会議で菅首相が「国民に分かりやすい議論でなければならない」などと要請したことを伝えている。筆者はリバティ本誌で、日本の年金や医療費などの問題を取材してきたが、「国民に分かりやすい」社会保障の議論は、今の流れではほぼ無理であると思う。

現在の社会保障制度がこれほど複雑になったのは、「いろんな立場の人に、いい顔をしよう」としてきたからだ。たとえばパートの人の税金にしても、「年収何万円以上は税金いくら」といった人為的な線引きがどうしても必要になり、その線を超えた人は「なんで?」という不満を持つ。その人たちの声が大きくなれば、政治家はその声を反映した別の制度を付け足さざるを得なくなる。いろんな人に公平にと制度を継ぎ足してきた結果、ものすごく複雑になっているのだ。

どうしても分かりやすくしたいなら、いっそ「所得税も法人税も一律10パーセント。それ以外は他の税金も社会保険料もナシ」というぐらいシンプル化すべきではないか。これぐらいシンプルにして初めて、誰にでも分かりやすく、だからこそ、公平感を感じられる制度になると思う。 (T)

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