ジャワ鉄道の高速化に向け、インドネシア政府が日本に融資や技術協力を求める意向があることを、このほど朝日新聞が報じた。

記事によると、現在の鉄道路線は、首都ジャカルタと第二の都市であるスラバヤ間の約730キロの距離を走るのに約12時間かかる。この路線を電化するなどして、所要時間を約6時間に短縮する計画だ。

ジャワ島を横に結ぶこの計画は、推計100兆ルピア(日本円で約8800億円)にも上る、国を挙げた一大事業である。

「中国式」に頭を抱える各国

インドネシアの高速鉄道をめぐっては、2015年に、今回とは別の区間のジャカルタとバンドンを結ぶ全長約142キロについて、日本との受注競争の末、中国が事業費を丸抱えする形で受注を勝ち取った。

しかし、中国がインドネシア側に提出した資料は、日本案をコピーしたと思われるものがあったり、インドネシア語や英語ではなく中国語のままでインドネシア側が評価できなかったり、約束していた建設資金を確保できないなどの問題が続いた。

中国が世界中で受注している鉄道計画は、東南アジアやアフリカでも問題が噴出しており、南米のベネズエラやメキシコでは、計画が延期となり、建設は実質、頓挫している。

安い値段で受注するだけしておいて、実態がずさんな「中国式」に、各国は頭を抱えている。

高い信頼を得ている「日本製」

一方で、高い安全性と品質が保証されている日本の技術は、先進諸国からも高い信頼を得ている。

例えば、アメリカでは、日本のリニア技術で、首都ワシントンとニューヨークを結ぶ計画が進んでいる。昨年12月には、テキサス州の高速鉄道の計画において、JR東海の新幹線技術が導入されることが決まった。

また、シベリア鉄道の北海道延伸案や、日本の高速鉄道技術をロシアに導入する計画も浮上している。

人・モノ・カネ・情報が循環するスピードが早まれば、経済は成長する。これを実現する手段として、新幹線をはじめとする日本の高い鉄道技術は、各国から大きな期待が寄せられている。

多くの途上国は、中国製の安さに思わず手を出してしまったが、鉄道インフラは国家の繁栄を左右する。今回のインドネシアのように、今後、技術の高さに信頼がおける日本製にシフトする国も出てくるだろう。

高い技術力を持つ日本は、どの国でもつくれるようなモノをつくるのではなく、日本にしかつくれない高付加価値なモノづくりにシフトしていくことで、日本経済が潤い、他国をも発展させることができる。(詩)

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