3日付けワシントン・ポスト紙に、投資家を引退したジョージ・ソロスが、"Why Obama has to get Egypt right"(なぜオバマ大統領はエジプトにきちんと対処しなければならないのか)というタイトルでコラムを寄せている。

投資家としての彼の行動や思想には問題もあるかもしれない。だが、ハンガリー系ユダヤ人でホロコースト経験者の彼が、イスラム原理主義のムスリム同胞団がエジプトの政権を握ることを「米国は支持しなければならない」と述べている点、注目される。以下、彼の論旨の重要箇所を紹介する。

・エジプトで自由選挙をして投票結果が軍により改ざんされたりしないのか、イスラム原理主義政権が他国にも次々誕生したらどうするのか、中東からの石油は無事に届くのか──。中東に関してはこうした固定観念が付き物だが、これらの考えはエジプトの政権移行期に関する米政権の判断を誤らせるので、変えなくてはならない。

・エジプトの状況はチュニジアより複雑だが、だからこそ他国に対する影響力を持つ。オバマ大統領個人としても米国国家としても、民衆の民主化への要求を支持すべきだ。それが米国のリーダーシップの立て直しにもなり、不人気で圧制的な(ムバラク)政権と同盟を結ばねばならなかったという懸案事項の解決にもなるだろう。

・エジプトの民主化は、中東地域における平和を進展させることになる。ムスリム同胞団が、ノーベル平和賞受賞者のモハメド・エルバラダイ(国際原子力機関[IAEA]前事務局長)の支持に回っているのは、今後の民主的政権にあって同団体が責任ある立場を果たそうとしているという望ましい兆しである。

・躓きの石(stumbling block)はイスラエル。中東に民主主義が広がればイスラエルにとってもいいことだが、変化が急すぎてリスクも多いことを考えれば、イスラエルはその点を認めたがらないかもしれない。

・米国のイスラエル支持者はイスラエル人以上にイデオロギー的で頑固な考え方をすることもあるが、幸いオバマ大統領は宗教右派の世話になってはいない。今回の革命に危惧がないわけではないが、ことエジプトに関しては成功の見込みが高いと見ている。オバマが迅速にエジプト国民の支持に回ることを期待したい。(HC)

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