NHKの受信料を来年10月から50円程度値下げするという籾井勝人会長らの提案について、経営委員会が「見通しが甘い」として、見送りを決めたことを各紙が報じた。

NHKの内部留保は全体収入の1割を超える797億円に達しているという。籾井会長は、「余っているお金を返す」という方針で値下げを主導したが、経営委員会は「値下げは中長期的に考えないといけない」として慎重な姿勢をとった。

今回の見送りで、来年1月の籾井会長の任期満了時には値下げが間に合わないこととなった。経営委員会は会長の任命権を持つため、籾井会長の再任にも影響する可能性がある。

NHKの問題点

NHKは、受信料未払い問題について、各地で訴訟を起こしている。来年には最高裁大法廷で、放送法64条1項の、「受信機を設置した者は、NHKと受信についての契約をしなければならない」という規定が合憲かどうか、初めて判決が出る予定だ。

この放送法は日本でテレビ放送が始まった戦後すぐにできた法律であり、もはや時代にそぐわないものとなってしまっている。

そもそも、どのような番組を作っても受信料をもらうのが当然という考え方が、問題の根源にあるのではないか。「公共放送」を掲げるNHKの存在意義を見直す必要があるだろう。

テレビの民営化・自由化を

自由競争の下では、視聴者に信用されないテレビ局は淘汰され、なくなっていく。いずれはNHKも民営化し、他局との競争の下でより良い番組を提供することが望ましい。

さらに、他の民放についても、日本のテレビ放送は事実上、新規参入が不可能になっている。それによって画一的な報道がなされており、視聴者の知る権利を保証できていない。

テレビを自由化して新規参入をはかり、多様な放送ができるようにすることが、視聴者の利益を守ることにもつながるだろう。(志)

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