政府は、高速増殖原型炉「もんじゅ」について、廃炉を含めた抜本的な見直しを年内に最終判断するとしている。そうした中、沖縄タイムスと福井新聞が共同で運営するニュースサイト「フクナワ」に、もんじゅの青砥紀身(あおと・かずみ)所長のインタビューが掲載された(12日付)。

もんじゅは、「増殖」という名の通り、発電しながら消費した以上の燃料を生み出せる、まさに「夢の次世代炉」だ。半永久的に発電しうるこの技術は、エネルギー資源の乏しい日本にとって、安全保障のためにも不可欠だ。

しかし、これまでにない設備ゆえに事故や作業ミスが続き、通常の原発以上に、疑問の目を向けられている。脱原発派からは「科学の暴走」「今すぐ廃炉を」などと批判されてきた。

業務停止は長引き、職員は膨大な数の点検作業でがんじがらめ。このまま幕引きになってしまうかもしれないという環境の中で、もんじゅに携わってきた技術者は、どのように士気を保っているのだろうか。

もんじゅの経験を最大限活かす

「フクナワ」に掲載された青砥所長のインタビューの一部を紹介したい。

「職員たちの士気を心配していただく声もあるが、落胆や士気の低下はない。昨年11月に運営主体変更の勧告が出た以降、職員に『自分たちがなすべきことを見失うな』と言い続けている」

「職員に意識させているのが、月1回、地元白木区内の神社に安全祈願し、区の人たちにあいさつして心を新たにすること。その上で、今置かれている状況の中でどんな経験値や知見を得られるか、もんじゅを最大限活用できるかを考えようと言っている」

「もんじゅの炉型は世界中で一つだけ。国が高速炉開発を堅持すると言っている以上、もんじゅの職員が今得ている経験を知見として身に付けることが、次の高速炉開発に必ず役に立つ」

報われなくても後世の役に立つ

本誌では、2015年12月号で、もんじゅのプロジェクトに人生を懸ける研究者を取材した。

(参照:「次世代原発『もんじゅ』に賭ける男たち」 http://the-liberty.com/article.php?item_id=10427 )

この中で、もんじゅの開発に長年携わってきたという研究者は、こう語った。

「人類史の中で、科学技術の進歩は、いつも軍事技術が先行していました。でも、日本が平和のために、最先端の科学技術を開発すれば、世界にとっての見本になります。『もんじゅ』は、日本が世界に貢献する、一つのモデルになると思うんです」

原子炉の設計者や運転員の「技術者魂」ともいうべき士気の高さが印象的だった。そこには、「一見、報われない研究も、後世、必ず誰かの役に立つ」という思いで、国のために尽くす技術者たちの姿があった。

どんな失敗も成功に変える

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『創造する頭脳』で、こう述べている。

何事にも、準備や勉強、努力等、いろいろなものが必要ではありますけれども、最終的には、『心構え』と、『どういう視点で物事を捉えるか』ということにかかっています。また、そういう気持ちになれば、どんな失敗であっても、すべてを成功に変えていく力が出てくるわけです。このような考え方を実践していくことで、逆境を乗り越える智慧が身につき、逆境に強くなってきます。(中略)人生においては、『逆境に強い』ということほど大きな財産はありません

科学の進歩には、事故や失敗がつきもの。新たな技術を実用化するには、事故を起こさないように十分注意しながらも、チャレンジし、研究開発を前へ進めていくことが必要だ。

もんじゅが一日も早く苦境を脱し、核燃料サイクルが実用化されて、社会に貢献するという目的を遂げられることを祈りたい。

(小林真由美)

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2015年12月号 日本をエネルギーで支えたい - 次世代原発「もんじゅ」に賭ける男たち

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2016年9月23日付本欄 「もんじゅ」の廃炉はなぜ理不尽なのか?【そもそも解説】

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