北陸新幹線の福井県・敦賀から大阪への延伸ルートをめぐって、3案のうち、京都府・舞鶴を経由するルートは投資に見合わないという試算を、このほど、国土交通省がまとめた。

北陸新幹線は2022年までに、敦賀まで延伸する予定だ。

舞鶴ルートが除外されれば、残りは、敦賀から滋賀県・米原で東海道新幹線につながる「米原ルート」、福井県・小浜まで伸ばして京都に向かう「小浜京都ルート」の2つに絞られる。

ルート候補地の沿線の各自治体は、自分の地域に新幹線を敷いてもらおうと、さまざまな形で陳情を行っている。新幹線という交通インフラが、地域を発展させることへの期待の裏返しだ。

富山県では開通後1年で421億円の経済効果

北陸新幹線が通った富山県では、開通後1年間で、経済効果は421億円に及んだ。九州新幹線の開通によって、九州の観光消費額は約2500億円も増えたが、これを九州の1世帯あたりの収入に置き換えると、約4.7万円も増えた計算になるという。

新幹線の開通が、地方経済に与えるインパクトの大きさがうかがえる。

本誌の最新12月号では、北陸新幹線に関する特集を掲載。この記事の中で、一般財団法人北陸経済研究所の藤澤和弘氏は、次のように語っている。

「新幹線が北陸にもたらした時間短縮と大量輸送というインパクトはとても大きなものです。(中略)新幹線がまだ通っていない福井の観光地でも、観光客が前年の2倍になったところがあるくらいです。(中略)北陸新幹線が関西ともつながれば、北陸は名古屋のような産業の中心地にもなりえます」(本誌12月号54ページ)

交通革命によって日本経済が復活

「人・モノ・お金・情報」が循環する速度が速ければ速いほど、経済が発展するわけだが、新幹線はそれに大きく寄与する重要なインフラだ。

例えば、東京―大阪間の列車移動は、1956年時点で7時間半かかっていたが、新幹線が開通した後、1992年時点では3分の1の、2時間半に縮まった。実は、この間に1人当たりのGDPは3倍に増えていた。(参照:本誌2010年5月号「交通革命で人生の持ち時間が3倍になる!」)

故・田中角栄氏は「日本列島改造論」で、日本全国に新幹線網を張り巡らせるビジョンを描いたが、40年以上たった今、実際に整備されている新幹線は構想の3割程度である。

「日本は十分に発展した。後は、下るだけ」という下山の思想が一時期流行ったが、日本はまだまだ発展する余地がある。

いやそれどころか、日本全国に新幹線を張り巡らせ、主要路線にリニア新幹線を敷き、世界中に「新幹線による発展モデル」を提示し、世界の経済や技術の発展をけん引していくべきだ。(格/片)

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