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米ワシントンポスト紙に興味深い投稿が載った。「私はムスリムで、女性で、移民です。トランプに投票しました」というタイトルで、トランプ氏へ投票した理由をつづっている (10日付電子版)。

投稿では、「オバマケアという美名の下、結局人々の生活は楽にならなかった」として、次のようにクリントン政権がもたらす「危機」を訴える。

「私は、自由主義のムスリムとして、オバマ大統領や民主党による、イスラム国に対して上手く取り繕おうとするやり方には反対してきました」

「カタールやサウジアラビアが、クリントン基金へ何百万ドルという寄付をしていることが明らかとなった今、クリントン支持なんてできません」

「トランプ政権下で、ムスリムであることに対して何の恐れも抱いていません」

「私が最も恐れることは、クリントン政権下で、カタールやサウジラビアといった、ムスリム主義の独裁政府による影響を受けることです」

さらには、アメリカ全体に流れる「言葉狩り」にも似た風潮に触れ、こう述べる。

「私はアメリカ合衆国という国を信じています。トランプとその支持者が悪魔呼ばわりされる原因となった、形ばかりにこだわって本質的な部分を無視する『政治的表現』に私は流されません」

「ヒラリー・クリントンへは投票できません」

米ニューヨーク・ポストにも、女性支持者の声が掲載されている(10日付電子版)。投稿者は、従業員が全員女性である弁護士事務所を経営しており、根強い「women supporter(女性支援者)」であるというが、トランプ氏に投票した理由を以下のように説明する。

「ドナルド・トランプは頭脳明晰で、成功しており、威厳もあり、また評判も高い人物です」

「彼は特定の利益団体をひいきしません」

「私も、トランプが立候補する前に発したいくつかの言葉に傷ついたことがあります。しかし、私たちも、公の場では言わないような発言をプライベートで言ったことがあるはずです」

「私は、いずれ女性大統領が登場すべきだと信じている人間ですが、それでもヒラリー・クリントンへは投票できません。彼女は不誠実で、法律を破る"資格"すら有しているようです」

「私用のメールサーバーを使い、裏工作をしたことは犯罪です」

メディアの報道と、「ポリティカル・コレクトネス」

立候補しても女性票は取れないだろうと言われてきたトランプ氏だが、ふたを開ければ53%の白人女性がトランプ氏へ投票している。いかにメディアが市民の「真実の声」を伝えてこなかったかが分かる。

こうしたメディアの報道スタンスもあってか、「トランプ支持である」と表明しづらい空気が、アメリカ全土を覆っていたのも事実だ。そのため、トランプ支持者の多くが、「沈黙のトランプ支持者(silent secret Trump supporters)」とならざるを得なかった。冒頭で紹介したムスリム女性も、「トランプを支持していることはずっと秘密にしてきた」と明かした。

アメリカ社会では、1980年代より、政治的、社会的に「適切な」「正しい」表現を使うべきだとする、「ポリティカル・コレクトネス」が強調されてきた。それが極端までいった結果、発言の本質部分より、「どのような言葉を使っているか」という表現方法ばかりが注目されるようになった。

そのような背景もあり、言葉の「適切さ」や「正しさ」など関係なく正直に発言をするトランプ氏や、トランプ氏を支持する人間が、あたかも差別主義者であるかのように扱われてしまったのだ。

トランプ氏の勝利は、耳触りが良いことのみ話して本質的な議論をしない政治家や、本音で語り合うことを避ける社会に対して嫌気がさしたアメリカ市民の本音の表れといえる。

それに加え、表面的な「形」だけにこだわるメディア報道のあり方を浮き彫りにしたと言えるだろう。(片)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『守護霊インタビュー ドナルド・トランプ アメリカ復活への戦略』 大川隆法著

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