小池百合子・東京都知事が政治塾「希望の塾」を開講した。同塾では、都政改革のための具体的な政策などを学ぶという。全国からの応募者は4827人で2902人が入塾。開講式が4回に分けて行われる事態となり、その人気ぶりが話題を集めている。

橋下塾のその後……

"人気"の「政治塾」といえば、橋下徹・元大阪市長が2012年に開講した「維新政治塾」が思い出される。

橋下氏は大阪府知事時代に結成した「大阪維新の会」を、国政政党「日本維新の会」にまで進化させた。「太陽の党」とも合流させ、2012年の衆院選では50を超える議席も獲得した。その手腕に憧れてか、「維新政治塾」1期生の応募者は約3,300人も集まった。

しかしその後、党は意見の食い違いにより内部分裂し「維新の党」へと転向。橋下氏は2015年に大阪市長の任期満了をもって、政界から引退してしまった。 残された「維新政治塾」の応募者は2016年、176人にとどまっている。

橋下氏の政治塾については、党内でも、政治塾でも、「議席をとる」という目的は一致しており、そのための選挙ノウハウも共有されていただろう。しかし、「議席をとった先で何をするのか」という「理念」が十分に共有されていたのかは疑問だ。あくまで受験ノウハウを教える「予備校」止まりだった可能性もある。

思想・哲学を学ぶHS政経塾

「政治塾のあり方」という意味で比較して注目すべきは、幸福の科学・大川隆法総裁が2010年に創立した「HS政経塾」だ。

同塾は研修期間の上限を3年間と定めているが、最初の1年間は、塾生は政治、経済、国際政治、経営に関する世界の古典などから徹底して「思想・哲学」を学ぶ。政治における「理念」の部分を、最重視しているためだ。

小数精鋭の塾生たちが日夜勉学に励む同塾から、このほど、2人の市議が誕生した。

10月16日に投開票が行われた新潟県阿賀野市議選において、幸福実現党県本部副代表の横井基至氏(36)が当選。続いて23日の鹿児島県薩摩川内市議選では、幸福実現党県本部副代表の松澤力(34)が当選した。

元自衛隊でもある阿賀野市議の横井氏は、HS政経塾で学んだ政治家としての志について、編集部の取材に次のように答えた。

「自分の生まれた阿賀野市に恩返しをしたいと思っています。そのためにも、『地域社会への貢献に責任を持つ』ことの大切さを、一人一人に教育などを通して共有していきたい。これが、幸福な社会を創っていくうえでの一人ひとりに課された使命だと思います。国家に関しても、国家ビジョンや憲法など、屋台骨の部分を変えていかなければ、日本の未来はないと思います。正しい国家観や、愛国心を、国民一人ひとりに持っていただかなければ、国は存続できません」

2009年の幸福実現党立党より政治家を志していた薩摩川内市議の松澤氏は、次のように話す。

「政経塾では、政治家としてのスキル、政策についても学びましたが、政策の奥にある思想、政治思想についても深く学びました。特に感銘を受けたのは、経済学者シュンペーターが唱えた『イノベーションの原理』。古いものに囚われるだけではなく、政治経済もイノベーションをおこして、新しい価値をつくっていくということを学び、感動しました。HS政経塾では、毎日、支援してくださっている皆様への感謝の祈りをあげさせていただいていました。それを通して、感謝の思いが深まり、政治への使命感も強まりました。これからどのような立場に立っても、その使命感はぶれません」

街宣カーの上から「使命・感謝」という言葉を語る政治家は多いが、それがどれだけ本心から湧き上がるものであるかまでを追及する政治塾は少ないかもしれない。

混迷極める今の日本に求められる政治家の資質とは何なのか――。様々な政治塾・政経塾のあり方は、それを考えるヒントになるかもしれない。(片)

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