1月31日、民主党の小沢一郎元代表が、資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で強制起訴された。今回注目したいのは、強制起訴に至らしめた検察審査会について。

検察審査会とは、検察官が「不起訴」と判断した事件について、被害者などから「納得がいかない」と申し立てがあったとき、選挙権を持つ国民の中からくじで選ばれた11人が起訴すべきか否かを市民感覚に基づき、改めて審査するもの。2度目の審査で「起訴すべき」と判断した場合、強制的に起訴される。

だがこの審査会については、プロの判断を「市民感覚」で引っ繰り返す点に一定の疑問も残る。裁判所の公式HPをのぞくと、検察審査員について「法律の知識は必要ありません。ご自身の良識に基づいて判断していただければ結構です」とあるが、それは良識という名の「感情」による判断になる場合がありはしないか。マスコミがつくる「世論」に判断が左右されることもあるのでは。ある司法関係者は「私たちが長年法律の勉強をしてきた努力や経験はどうなるのか?」と首をかしげる。

不祥事続きで検察への不信も広がり、システム改善の余地は大きいだろうが、かといって裁判員裁判同様、一般市民に判断を委ねることが必ずしも「民主主義」ではないはずだ。決して小沢氏を擁護する趣旨ではないが、日本の司法が悪しき「人民裁判」に陥る恐れはないか、今後とも検察審査会の動きに注目していきたい。(格)

*現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。ザ・リバティwebの購読者にはニュースクリップをメールでも配信しております。