2016年11月号記事
人工知能時代
人間にしかできない仕事
あと10年で消える仕事
あと10年もすれば、人工知能が人間の仕事を奪うかもしれない───。
連日報じられる人工知能に関するニュースを聞くと、そんな不安がよぎる。
しかし、そんなことがあり得るのか。
(編集部 大塚紘子、河本晴恵)
専門家に聞いた
人工知能って何ですか?
人工知能とは何かについて、その活用の最前線であるIoTの専門家に話を聞いた。
リニアテクノロジー
ダスト・エバンジェリスト
小林純一
(こばやし・じゅんいち)ICの設計および製造のリニアテクノロジー社で、ダスト・ネットワークス社の製品のマーケティング活動などを行う。著書に『勝者のIoT戦略』(日経BP社)。
──人工知能(AI)とは、どのようなものですか。
すでに毎日の生活の中で使われています。
例えば、コールセンターのやり取りの一部は人工知能が行っていますし、Amazonなどのネットショップで提案されるおすすめ商品や、興味関心に合わせて表示されるニュースを選んでいるのもAIです。
AIは人間の「考える」という機能を、機械を使って補うものといえるでしょう。 ブルドーザーを使えば、レバーを動かすだけで重いものを運べます。それとよく似た役割を担っているということです。
AIはインターネット上やデータベースの中の大量のデータを一瞬で取り込んで処理し、答えを出します。ただ、答えを出すプログラムを作るのは人間です。
ディープラーニングって?
──人工知能はだんだんと賢くなっていくと言われていますが、どういうことですか。
「ディープラーニング」という仕組みを使って、たくさんの例を学習させると、どれが正しい答えなのかAIが自分で選べるようになったので、そう言われています。
AIが出す答えが正しいか正しくないかの判断材料は、あらかじめ人間が用意しておきます。すると、正しい結果を出したデータを重んじ、そうでないデータを遠ざけ、だんだん正解を出せるようになっていきます。 つまり、AIは、正解を与えた人の真似をするということです。
従来のコンピューターは、条件やルールに従って答えを出します。AIはディープラーニングによって多くの例から類推して自ら答えを導きます。ただ、その答えは、正解を選べる確率が高まっていくということであって、100%正しい、というわけではないのです。
Amazonのおすすめ商品の提案や、接客や案内ができるロボット「Pepper」(手前右)、部屋の掃除をしてくれるロボット掃除機「ルンバ」(手前左)などにもAIが搭載されている。 Eric Broder Van Dyke / Shutterstock.com
各界のプロに聞く「その仕事、AIにできますか?」 水澤有一氏/草刈貴弘氏/一条真也氏/小宮一慶氏
人工知能に任せられる仕事、人間が得意な仕事
AIが発達しても時代を切り拓くのは人間の心