2016年11月号記事

どうする? 親の老後

「幸せな介護」のすすめ

平均寿命が延び、超高齢社会の中、誰もが直面する介護の問題。

「介護は大変」という常識を変える「幸せな介護」のための考え方を学びます。

(編集部 小川佳世子、小林真由美)

写真:岡本淳志

人は誰もが老い、死に近づいていきます。自分の親の介護について、先の見えない不安を感じている人もいるでしょう。

東京都在住の40代の女性は、次のように戸惑いを語ります。

「田舎に両親が住んでいますが、2人とも足腰が弱くて。もし寝たきりになったら、仕事を辞めないといけなくなるのではと不安です」

日本では現在、約560万人が身内などの介護をしています。2025年には、いわゆる「団塊の世代」が75歳の後期高齢者になります。すると、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上に。仕事と介護の両立に苦しみ、離職を選ぶ人がますます増えていくことが予想されています(グラフ)。

新潟県の60代の女性は、10年前に夫の祖母を介護した体験をこう振り返ります。

「夫の祖母は病院や施設を嫌がったので、在宅で介護しました。私が地方公務員の仕事と両立していた時は、肉体的・精神的にかなりきつく、体重が激減。認知症による徘徊が始まったので、片時も目が離せなくなり、定年より10年早く退職しました」

地方自治体などが運営する、特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設は、比較的利用料が安いこともあり、入所待ちの高齢者が全国で約50万人いるので、すぐに入るのは難しい状況。かといって、民間の老人ホームでは、月々の費用が高くつくこともあります。

介護する側の人々が肉体的、精神的、経済的に追い詰められ、ウツになり、最悪の場合は、殺人に至るケースもあります。介護を苦にした殺人や心中は、過去6年間で138件も起きており、これは約2週間に一度のペースです(NHKの調査)。

どうすれば、介護離職やウツなどに苦しむことなく、幸せに介護に向き合えるのでしょうか。

介護で消える「ヒト」と「カネ」

他人事ではない「介護離職」

日本では現在、年間10万人以上が介護を理由に仕事をやめています。また、290万人以上が、仕事しながら介護している、「介護離職予備軍」です。

出典:2012年総務省「就業構造基本調査」より。

このままでは財政破綻か、超増税!?

介護保険サービス費用も、一人当たりの保険料負担も増え続けています。介護保険に使われるお金の半分は税金でまかなわれているので、このままでは、財政破綻か、とんでもない重税国家になるリスクがあります(2014~2015年は当初予算。2016年以降は予測値)。

出典:厚生労働省「介護給付と保険料の推移」より編集部作成。

次ページからのポイント

介護の費用は、施設と在宅でどう違うの?

インタビュー 「寝たきり長寿」から「健康長寿」の国へ / 星旦二氏

インタビュー 延命至上主義をやめ自宅で穏やかな最期を / 長尾和宏氏

体験談 最期まで伝え切った「お父さん、ありがとう」

「幸せな介護」に必要なもの